「個人的に2010年前半期No.1エンタメです」プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
個人的に2010年前半期No.1エンタメです
ビビった。
J・ギレンホールがここまで『マッチョでベビーフェイス』な好青年に化けるとは!!
文化系なイメージの強い彼だが、この映画ではまさに正統派ヒーロー。こりゃ一気に人気爆発しそうな気配が……。
始めに言っときます。この映画、テッパン級の面白さです。
反目していた主人公とヒロインが惹かれ合ってゆく展開は王道だがロマンティックだし、兄弟愛や友情を描いた物語としても良く出来ている。
大量のアクションと様々な感情を物語に折り込んでも、それを『盛り込み過ぎ』と感じない……いや、それどころか何度も感情を揺さぶられ、泣かされそうになった。
しかもこんな正統派エンタメ映画にイラク戦争を匂わせる要素を盛り込むとは大胆不敵じゃないか(全米興収がイマイチなのはその辺が理由なのではとも思うが)。あ、勿論そんな事を気にせずとも映画は楽しめるのでご安心を。
肝心のアクションシーンも良い。
派手な爆破シーンなどは無いものの、大掛かり且つアクロバティックなアクションに興奮。
しかも序盤から見せ場を連発させ、それに観客が慣れて中弛みしそうになる所で、今度はトンデモない敵を投入してテコ入れ……流石はブラッカイマー先生。心得てますな。
そのトンデモない敵と言うのが暗殺集団“ハッサンシン”だ。
見た目はまるで『ロード・オブ・ザ・リング』の“黒の騎手”。全員が独自の暗殺能力を持っており、こいつらだけでスピンオフ映画が作れそうなくらいに、濃い。
さて、最近のアクション映画によく見られる手法だが、スピーディなアクションの合間にスローを挟み込む演出が本作でも多用されている。
これはちょっと細かい話になるが、通常のシャッター速度で撮影した映像をスローにした部分と、ハイスピード撮影した映像をスローにした部分とが混在しており、若干気持ち悪い感じを受けた。
マイク・ニューウェルはそもそもアクション専門の監督じゃないので、アクションシーンの編集にまでは頭が回らなかったのかもしれない。
また、これも最近のアクション映画にはよくある事だが、カット割りが細か過ぎて誰が何してるのかよく分からんという大きな欠点もある。
正直言うとこの映画、アクション演出的には拙い部分も多いように思えるのだ。だがそこを設定の妙や感情の盛り上がり、そして物量でものの見事にカバーしている。
要は観て損なし!の秀作と言いたい訳です。スカッとしたい方は是非是非。
<2010/5/29鑑賞>