劇場公開日 2010年1月22日

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「サロゲートは熟年夫婦の再起の物語である」サロゲート Kadwaky悠さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5サロゲートは熟年夫婦の再起の物語である

2010年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

今年はアバターな世界観に個人的にどっぷりである。
キャメロンが文字通りの作品を世に出して
話題になってるとおもいきや
こちらでもアバター的なロボット社会のお話である。

ぼくはと言えば、年明け早々、
FF13目当てに買ってしまったPS3でホームに
どっぷりはまってしまっているが、
セカンドライフなどのアバターを活用した仮想現実世界を、
現実生活に持ち込んだ世界観が、このサロゲートの舞台だ。
自分は家にいて身代わりロボットが代わりをやってくれる
という未来社会での代替ロボットによる生活は、
SFのモチーフとしてよくあるが、
今回のは代替ロボットをアバター的に活用している点が旬である。

ロボット開発の飛躍的な進歩で、人間は自宅以外の生活を
サロゲートという代替ロボットに委ね、自分は自宅から
遠隔操作をして生活するというライフスタイルが確立する。
それにより、人間は直接的な危害を加えられることがなくなり、
犯罪が激減することになる。

そのような設定の中で、ブルース・ウィルス扮する主人公
FBI捜査官のトムもまた自分よりずっと若作りした、
サロゲートで捜査にあたっている。
しかし彼の悩みの種は、息子を交通事故で失って以来、
心を閉ざしてしまった妻との関係である。
妻はサロゲートでしかコミュニケーションを取ろうとせず、
ずっと部屋に閉じこもっている。
そんな家庭内別居の状態に対してトムはこのサロゲートが
もたらした社会に対して疑問を抱き始める。
そんな矢先に、捜査中自身のサロゲートを失い、
そして再び社会の中で生身の自分として行動するとき、
サロゲートが本来の人間らしさを見失わさせたことに気づくのだ。

監督はジョナサン・モストウだが、彼が「ターミネーター3」を
手懸けたことはこの作品に活かされていると思う。
アクションシーンはまんまターミネーターである。

ぼくも仮想空間で感じる既視感にも似た現実との曖昧さが、
人間の本来的なコミュニケーションを鈍らせているのではないか、
と感じるのだが、まさにそのことを警告するような作品である。

結果的にこの作品は、熟年夫婦の再起の物語であるのだけど、
それは文字通り仮面夫婦というものにも通じる、
非常に現代的な問題も提起している、と付け加えておこう

Kadwaky悠