「娯楽としては非常に面白く出来ていますが、奥行きはそれほどでもないです。」インセプション nyaroさんの映画レビュー(感想・評価)
娯楽としては非常に面白く出来ていますが、奥行きはそれほどでもないです。
面白いと思います。エンタメとしての完成度は評価していいでしょう。少し設定が分かりずらいところもありますがよく見ていればそれほど難解な設定ではないし、それ以上に話が分かりやすいので混乱はないと思います。
内容的にはハリウッド映画らしい家族・夫婦・親子が中心で、その家族をめぐるヒューマンドラマがSF設定や企業の思惑などとよく絡んで、脚本は非常に面白くできていると思います。
夢すなわち脳内の階層によって心理的な時間経過が違うという設定が効果的に機能して、夢の世界の不思議を映像化できていました。「パプリカ」のパクリという話もありましたがそんなに気になりません。ホテルの廊下のシーンだと思いますがインスパイアどまりで全く許容範囲です。ただ、日本のアニメ的な発想が多くて、日本のSFアニメの影響は感じました。
それを踏まえて、やっぱり浅いなあ…と思わなくはないです。エンタメですからそれで良いと言う前提ではありますが、ヒューマンドラマの葛藤が極めて浅い。そこにミステリアスな要素はありますけど、ふーんという感じです。それこそ日本のアニメや漫画の方が人間を描こうとしている気がします(もちろん成功例は多くはないですけど)。
終わったあと、主人公や奥さん、敵対企業の息子などの人生や感情についてぼんやりと思いを巡らせるような作品でもないし、ヒロイン的な子はたんなる飾りでした。
重ねて言いますが、とても面白いと思います。2時間45分もありますので、長すぎではありますがそれでも、若干集中力が途切れる時間があったものの、結果的にはずっと楽しめました。しかし、娯楽の要素が多くて、1回見ればいいかなという系統の作品だったと思います。