「「クリスマス・キャロル」と 「素晴らしき哉、人生!」の影響下にある映画だが・・・」セブンティーン・アゲイン antさんの映画レビュー(感想・評価)
「クリスマス・キャロル」と 「素晴らしき哉、人生!」の影響下にある映画だが・・・
2009年はチャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」が来ている。ロバート・ゼメキスとジム・キャリーによる「CC」は年末に公開。マシュー・マコノヒー、ジェニファー・ガーナーの「Ghosts of Girlfriends Past」設定も「CC」からいただいているようだ。そして中年男が17歳に戻ってしまうこの映画では、そのきっかけを作る人がブライアン・ドイル=マーレイ。彼が「CC」の現代版だった「3人のゴースト」に主演したビル・マーレーの兄弟なのは偶然ではない。しかしその彼が川に落ちたところを主人公が救いにいった後で若返るのは「CC」のバリエーションというべきフランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生!」からの分かりやすい引用になっている。
キャプラはしばしば人情映画の巨匠と呼ばれるが、金の亡者が社会を支配する殺伐とした世の中の描き方はじつに鋭く彼のもう一つの持ち味になっている。そこを描いてこそヒューマンな話が生きるのだ。それに対してこの映画はそのあたりがかなり甘い。主人公が娘と息子がいる高校に入ってはじめて知る子供たちの問題もさほど酷くないし、40歳の彼がいないことで世界も、離婚寸前だったので残された家族はそれなりにやってゆけそうだ。その意味ではアイドル映画と割り切ったほうがいいし、その視点で見れば合格だ。それに興味が持てなくてもトーマス・レノン(「ナイト・ミュージアム」の脚本家でもある)のオタク演技やミセス・ジャド・アパトーことレスリー・マンの倦怠期演技などは楽しめる。
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