劇場公開日 2009年11月14日

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Disney's クリスマス・キャロル : 映画評論・批評

2009年11月10日更新

2009年11月14日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

自意識に囚われた哀れな現代人を描くゼメキス映画の本質を再発見

クリスマスシーズンに相応しいファミリーアニメにすぎないと思いきや、ここには映画ファンをも納得させる3つの“映画の精霊”が潜んでいた。

最初に訪れるのは、特撮技術の精霊。モーションキャプチャー×3DCGの欠点だったぎこちない表情や動きは格段に改善され、精緻に描かれた19世紀末ロンドンの格差社会の街へといざなってくれる。次なるものは、同時代性という名の精霊。守銭奴スクルージが改心し人生をやり直すというディケンズの物語は、悪しき資本主義が機能不全に陥った今という時代に改めて作用する。

最も重要なのは、作家性という名の精霊だ。主人公が「バック・トゥ・ザ・フューチャー」よろしく過去や未来へと旅する超自然的な表層にくるみ、自我や自意識に囚われた可笑しくも哀れな現代人を描くことこそ、ゼメキス映画の本質であると再発見する。理性に縛られた心の扉が開かれる「コンタクト」、文明に依存する生を過激にリセットした「キャスト・アウェイ」。テーゼを反転させ、「フォレスト・ガンプ/一期一会」では心を覆う一切の虚飾をはぎ取った愚直な魂を謳い上げた。スクルージは、自己愛の硬い殻で覆われている。それは、強欲なアメリカの閉塞しきった姿でもある。彼自身と彼の氷の心を溶かす3人のゴーストを、ジム・キャリーが演じ分ける演出が興味深い。経済だけに価値観を置いて生きてきた哀しい人間を覚醒させるのは、他の誰でもなく、内なる自分であるという本作への解釈は、あくまでもゼメキス流である。

清水節

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