劇場公開日 2009年5月1日

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「退屈はしないが楽しめはしない」新宿インシデント shotaro5124さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0退屈はしないが楽しめはしない

2014年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

寝られる

ジャッキーはこの映画で「賞も視野に入れている」と言っていた。それまでのアクションスターとしての肩書から、演技派俳優として評価されることを望んでいたように思う。

しかし一朝一夕にはいかないものである。日中の社会問題をリアルに織り込んだ話で陰鬱さを遠慮なく盛り込めば、テーマが重くなって自動的に深刻な映画たりえてくれるとの思い込みが、根底にあったように思う。日本と中国の両方で、わっと評価が高まってほしかったのだろうし、日本においては「ブラック・レイン」のような評価を期待していたのかもしれない。

だが、香港映画人として刷り込まれた、度を越したサービス精神?が相変わらず顕著で、とにかく観客を退屈させまいとあらゆる要素を放りこみすぎてしまう。時にそれがリアリティを逸脱するものであっても、退屈よりはマシという香港ムービーの血が、まるっきりナンセンスでグロテスクで悪趣味なだけのシークエンスを作りだしてしまう。切り落とした手を屋台で焼くくだりはやり過ぎで、香港映画だなぁと思ってしまう。

竹中直人の役は、なんだか腹の中に陰謀でも秘めてそうに見えたので、本当にジャッキーのお友達として友情を温めあっているとは思わなかった。だから最後も素直には感動できなかった。

ひたすら陰気な話を続けて、主人公死亡の悲惨な幕切れなら、芸術映画とみなされる…そんな風に思い込んでいるとしたら、ちょっと勉強が足りないなと感じる。

こんなジャッキーみたことない、と宣伝文句に打っている時点で、結局はジャッキーの従来ファン頼みの興行と丸わかりである。一般の映画ファンに評価され賞を獲るような演技派俳優になりたいという夢は、配給会社にすら同感を得られていない。

また、歌舞伎町の不法入国者が減ったのは都による浄化作戦など行政が本腰を入れたからで、中国の経済発展だけが理由ではない。あのエンディングの表示も無責任すぎると思う。

shotaro5124