劇場公開日 2009年11月7日

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「斬新なアイデア満載でみせる異色サイキックアクション」PUSH 光と闇の能力者 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0斬新なアイデア満載でみせる異色サイキックアクション

2010年3月18日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

全米興収がイマイチで日本でも大々的には宣伝されなかた本作だが、何かの番組でその映像を見てからミョーに気になっていた。
で、実際に観てみたら……これ、かなり面白い!!

主人公は念動力を操る流れ者の超能力者。しがない生活を送る彼が予知能力を持つ少女と出会った事をきっかけに、最強の記憶操作能力(通称“プッシュ”)を持つ女を巡る闘いに巻き込まれてゆく。

超能力者同士の闘いというと、やはりド派手な能力合戦が繰り広げられる『X-MEN』が頭に浮かぶが、登場する超能力が至ってオーソドックスである点(超能力にオーソドックスも何も無いが)、若手スターが主演を張ってる点などから鑑みるに、瞬間移動能力者たちの闘いを描いた『ジャンパー』により印象が近いか。

だが断言させていただきます。この映画、『ジャンパー』より格段に面白い。個人的には『X-MEN』シリーズより好きかも。

この手の映画によくある『主人公が強力な潜在能力の持ち主』という安易なパターンは取らない。
主人公たちの敵は、超能力の兵器利用を目論む政府の秘密機関と中国系マフィア。政府機関にもマフィアにも、主人公たちと同じ能力を持つ敵がいる。そして経験豊富なそいつらは、主人公たちより巧みに能力を操ってみせるのだ。
相手が実力で勝てる敵ではないと知った主人公たちは、チームワークと知力と度胸を武器に闘いを挑む。

予知能力者の予知をかいくぐる方法とは?
念動力の用途は離れた物体を動かす事だけか?
物語の展開にもアクションシーンにもひと味違うアイデア満載。二転三転するストーリーに時々混乱させられるが、最後は数多のアクション映画に慣らされたこちらの思考パターンを逆手に取った見事な決着で唸らせる。
力ではなく、知力で相手を叩きのめすこの感じ、かなり爽快。

テンションの高い映像と音楽も制作費に似合わぬ大作感を味わわせてくれるし(『X-MEN』1作目の約半分、『ジャンパー』の約1/3)、主演を務めるクリス・エヴァンス、ダコタ・ファニング、カミーラ・ベルといった旬な若手スター達は、本作に青春映画のような瑞々しい魅力を与えている。

さして真新しくもないジャンルを、コンゲームや青春映画の要素を加えて斬新に見せる佳作。ツッコミ所もあるにはあるが、勢いの良さに負けた。興収から考えると難しいだろうが、続編観たいなぁ。
ちなみにこの映画のダコタ・ファニングは酒グセ悪いです。

<2010/2/7>

浮遊きびなご