劇場公開日 2009年9月26日

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「ぺ・ドゥナの勇気と美しい裸身に感謝と感動。」空気人形 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ぺ・ドゥナの勇気と美しい裸身に感謝と感動。

2023年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

惜しげもなく美しい裸身を映像に残して、記憶に永遠に刻まれた
ぺ・ドゥナ。
そのヌードは清楚で清潔感に溢れていやらしさは微塵もない。

のぞみという名前のラブドール(ダッチワイフ)は、ファミレスで働く
秀雄(板尾創路)の部屋で一緒に暮らしている。

ある日のぞみはベランダに手を延ばす。
手に触れる雨の雫。
「きれい!!」
そう感じたのぞみは、人間の心を持つ空気人形に生まれ変わる。
歩き方もぎこちないが、レンタルビデオ店のアルバイトとして
勤務を普通にこなす。
帰宅すると今まで通りの空気人形を演じている。

のぞみは何度も自分に言い聞かせる。
「私は性処理の代用品」
そう思っている。
その諦観がいじらしくも哀しい。

印象的なのは、空気人形が綺麗な瓶やガラス玉が好き。
街の中で生き生き伸び伸び歩く姿。
やはり秀雄は気づきもしない。
2人に心の繋がりは生まれない。

しかしビデオ店の純一(ARATA)の優しさには惹かれる。
ある日、脚立から落ちたのぞみの身体に穴が開いて、空気が漏れる。
たちまち萎むのぞみの身体。
純一は空気穴から空気を入れて、元通りにしてくれる。
お礼を言うのぞみに、
「俺も似たようなものだから・・・」
と言う。
似たようなもの?
純一も空気人形?
そう誤解するのぞみ。
のぞみは純一に恋をする。

やがて、のぞみが心を芽生えたことが秀雄にバレる。
「面倒くさい・・・今までの方がいい」
秀雄は呟く。
やがて新しいラブドールを買って来て、ベッドで添い寝する。
居場所を無くしたのぞみ。

純一の部屋に行くと、
「ひとつだけ頼みがある」
「空気を抜かせて」
純一がのぞみに空気を入れるシーンはエロティックだ。

そうだ純一の空気も抜いてみよう!!

純一は血を流して死んでしまう。
彼は空気人形では、なかったのだ。

結局は誰からも人間扱いされない空気人形。
のぞみは心を持って幸せだったのだろうか?

人間の心を持った「ピノキオ」のラスト。
ディズニー版のピノキオは
「信じれば夢が叶う」
人間に生まれ変わり、幸せに暮らします。

しかし原作では、最終的に
ピノキオは木に吊るされて悲惨な死を遂げる。

ゴミ捨て場に横たわる
空気人形の脳裏に最後に浮かんだのは、
知り合った人々全員に囲まれて、
バースデイ・ケーキの蝋燭を吹き消す
幸せなシーンだった。

琥珀糖
いぱねまさんのコメント
2023年6月8日

失礼します

共感ポイントありがとうございました

何れ現在公開中「怪物」を観賞されると思いますが、是非とも今作の部屋にぶら下がっている惑星のビーチボールを憶えておいて下さい^^ あのシーンはホントに白眉です

いぱねま
しろくろぱんださんのコメント
2023年6月8日

こんばんは
いつも共感コメント
ありがとうございます。

いつも琥珀糖さんから
誉めて頂いて嬉しいです。

空気人形は是枝監督の
作品の中では一番好きです。
ファンタジー感が強めですが
音楽と世界観がぴったり合って
私の好みの🎬でした。

しろくろぱんだ