劇場公開日 2009年8月22日

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「愛情と激怒で突っ走る93分間 [スコア修正]」96時間 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5愛情と激怒で突っ走る93分間 [スコア修正]

2009年8月28日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

離婚以来、なかなか会えない娘の写真を眺めて寂しげに笑う親父。継父との、娘へのプレゼント対決に負けてヘコむ親父。

一見、心優しい中年にしか見えない主人公。だが誘拐された娘を救う為にいざ動き出すと——強い。
鬼のように強い。
泣きたくなるほど強い。
3秒に1人の速度で相手を始末する凄まじい殺人スキルに加え、無線・名刺・死体と、ありとあらゆる物(者)を瞬時に利用して相手を欺く冷徹な知能。序盤で見せた優しい父親の顔からの豹変ぶりが恐ろし過ぎる。『効率的拷問』のシーンなんてもう……鳥肌が立つほど怖ェ!!
愛する娘を救うため、モラルも人間性もかなぐり捨てる主人公の姿には戦慄にも似た感動を覚える。

主人公が無敵すぎるのに映画が白けてしまわないのはやはり主演リーアム・ニーソンの功績。情け容赦無く邪魔者を消した後、ふと気を緩めた瞬間に娘の身を案じて涙ぐむ姿の痛ましさと言ったら。
キャラクターに血肉が感じられるからこそ、主人公の痛みや焦燥が伝わり、映画全体のヒリつくような緊張感に繋がっているのだろう。

シンプル且つソリッドな語り口と、主人公の激情で突っ走る93分間の追跡行。『ボーン・スプレマシー』以来の良質アクションだ。

[スコア修正]
『アジョシ』と同等かそれ以上の映画だと思うので、向こうに合わせてスコア修正。……ひょっとして段々と判定が甘くなってるのかなあ、自分。

浮遊きびなご