劇場公開日 2010年6月12日

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「パリの一つの教室での日常が、世界の構図までを…」パリ20区、僕たちのクラス KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0パリの一つの教室での日常が、世界の構図までを…

2024年6月21日
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鑑賞方法:DVD/BD

岩波ホールの高野悦子さんの回想図書を
読んで知ったこの作品のDVDが、
たまたま近くの図書館にあったので
初鑑賞した。

2010年キネマ旬報ベストテンでは
第32位に沈んだものの、
カンヌ国際映画祭では、審査員全員一致で
フランス映画として21年ぶりに
パルムドールを獲得した作品とのこと。

前半は同様に語られる、
現代の日本の学校教育現場問題と
同じ崩壊性を見るようで新鮮さも感じず、
正直なところ睡魔に襲われたが、
後半は臨場感溢れるこの教育現場の世界に
次第に引き込まれるように鑑賞した。

主人公が、教師としての理想型かのような
人物像から一転して
生徒側と罵り合う場面は、
この作品の原作者でもある彼一人に
教育現場問題を全て背負わせる構成にした
のだろうが、少し戸惑う展開に。

一方、この一つの教室での日常が、
パリやフランスの教育現場をも超えて、
世界の国家・民族・宗教などの構図までを
写し取っていたようにも。

しかし、全体構成として、
退学になった生徒のエピソードと
その後のエンディングまでの展開が
上手く繋がって見えない印象は
少し残念に思えた。

そして、最後に驚かされたのは、
この映画の監督のローラン・カンテが、
今年の4月に63歳で亡くなったばかり
とのネット情報だった。

KENZO一級建築士事務所