「フィルムメイカーたちに敬意を払わずにはいられない」パリ20区、僕たちのクラス ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)
フィルムメイカーたちに敬意を払わずにはいられない
歯並びの悪い女の子のスマイルに、つい微笑んでしまう。
素人だった生徒たちの芝居が、半端なくイイ。それはきっと、撮影前におよそ7ヶ月にもわたって行われたワークショップの成果の賜物。演出スタイルは、ジョン・キャメロン・ミッチェルのソフト版。長時間かけてじっくり熟成させた職人技だ。本当にドキュメンタリーのように日常を切り取っている。美男美女なんてそうそう身近にいない我々の実生活に近いから、それがまた共感を誘うのだ。
教育っていうものが、いかにその人間のパーソナリティ形成の比重を占めるか考えさせられた。勉強とは、人と人との会話や、自分というものを文字や言葉でどう表現するか、それ以外の方法でいかに表現するのか、はたまた表現しないのか、とにかく「考える」ことに基本があるのだと思う。考えるキッカケとしての学校のあり方がどうあるべきなのか、映画を通して鋭く問われている気がする。
映画鑑賞後、この小さなフィルムメイカーたちに敬意を払わずにはいられない。
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