「アンバランスさのバランスが天才的」抱擁のかけら ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)
アンバランスさのバランスが天才的
アルモドバルがミューズ・ペネロペを主演に描く、純度高めのラブストーリー。ペネロペはこれまでに、「ライブ・フレッシュ」「オール・アバウト・マイ・マザー」「ボルベール/帰郷」と、これで4度目のアルモドバル作品への出演となる。まるで2人は、ティム・バートン×ジョニデ、ウッディ・アレン×スカヨハ、イーストウッド×フリーマンのように相思相愛の様子。
ひとがひとを愛するという、平凡で掴みどころがなくてありきたりのことを、アルモドバルが描くと何故こんなにも非凡になるのだろう。彼のその着眼点と表現力が素晴らしい。ただ時間をなぞり、ひとの歴史をなぞり、それを語っているだけなのだけなのに面白い。調律されていない楽器で1曲見事に奏でてしまうような、アンバランスさのバランスの取り方が天才的なのだ。
そして、スペインの役者がかなりいい。さすが情熱の国。ペネロペは相変わらず美しいけど(彼女は歳を増すごとに美しくなる)、美女ブサイクビッチたらしなどが混ざり合って美しいカラフルな色彩を放つのだ。そのマーブルが何よりいちばん美しい。
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