「ペドロとペネロペ。」抱擁のかけら ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ペドロとペネロペ。
P・アルモドバルとP・クルスの4度目のコラボ作品。
意気が合っているというか、お互いを信頼し合って
相手のために遣りました!!感が随所に感じられる作り。
私的にこのコンビ作品は好きなので今回もすぐに観た。
うーん、濃い!いつも通りの愛と憎悪の入り乱れ感、
赤を基調とした色遣い、物語の二重性、どうしてこの人は
(自身がゲイとしても)情念の絡みをここまで描けるのか。
過去と現在の行ったり来たり、さらにもう一つ劇中映画を
仕込んだ作りはかなり複雑で、冒頭は意味が分からない。
しばらく経って、やっと写真のペネロペが登場する。
そして物語は主人公のマテオ(ハリー)が封印した過去へ
遡る…。ある意味でネタバレ厳禁、それを理解して初めて
現在の彼が見えてくる構成なので、観客は目が離せない。
哀しい話であり、美しい映像でもあるのだが、
まぁ~それよりも^^;愛欲と肉欲と憎悪と復讐に彩られた
火サスもビックリ♪な内容にとてもアルモドバルを感じる。
ラスト近くでこのタイトルの(かけら)の意味が、観る者の
捉え方如何で様々な形に見えてくるところなどはさすが。
本来の話は単なる三角関係?にとどまるところなのだが、
他者の視角、他者の感情を取り入れた方向性を定めない
描き方が、自分だったらどうするかを考える知恵をくれる。
まぁ、こんな立場でこんな恋はしたくないし(怖すぎるよ)
はじめから避けたいところ^^;なのだけれど…。
夢を叶えようとする強い女性(ある意味ものすごく身勝手)に
扮したペネロペは、まさに彼女そのもの!(爆)
貪欲感を余すところなく発揮し、もちろんヌードもいとわない。
狙い通りに演じてくれる俳優は監督には申し分のない存在。
彼女には一生そんな女優でいて欲しいと思う^^;
その彼女に色気を感じるかどうかはヒトそれぞれだろうが、
ここに出てくるエロジジイ達は(爆)みーんなやられてしまう。
そこまでやるか!?というストーカーまがいの行為も凄い^^;
聞き手役で彼を信頼する助手の青年(のちに事実判明)が、
ホッとできる唯一の存在感を醸しているのがとても爽やか。
(実生活がこんなに濃かったら、体毛まで濃くなりそうです)