「映画を愛する気持ちが伝わる」抱擁のかけら マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を愛する気持ちが伝わる
久しぶりにムスコが元気だったよと喜ぶ老年の落語家よろしく、万国、元気なことはいいことで、この作品も、端的に言ってしまえば、エロオヤジふたりに挟まれたペネロペの狂おしさを描いただけ。
それでも魅入ってしまうのは、現在、まずペネロペ以外考えられない役どころ。そして、映画が好きでないとできない構成だ。
ひとつは、いまドラクエ6をやっているからではないのだろうが、過去と現在が並行して描かれているというより、次元の違う上と下の二重構造に見えて、これが斬新。映画のなかに映画を存在させ、さらにその撮影風景を追い回すハンディ・カムの映像を被らせたからだろう。
また、ずたずたにされた劇中映画を、一本の作品として蘇らせる作業中のマテオの台詞、「映画は完成させることに意義がある」は、愛しいレナが生きた証を残すとともに、映画人としての職人気質を感じる。
そして、その完成した作品を見せない。この先どうなるんだろうという、いいところで切ってしまう。きっと邦画だったら欲張って結末を見せちゃうんだろうな。見せてしまったらマテオの台詞がボケてしまう。
読心術を使う女性の受け答えがロボット的で可笑しかった。
p.s. ペネロペ・・・魅力はあるんだけど、いつまでこんな役をやっているんだろう。なんか型にはまってしまってもったいない。同じ痴情のもつれなら、「それでも恋するバルセロナ」の方がよかったなってなっちゃう。
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