「貧困」ベルサイユの子 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
貧困
ギョーム・ドパルデュー主演ということもあり、どことなく「ポーラX」のテーマと被って見えました。社会不適合者にとって、この社会で生きる術はそう多くはありません。ダミアンにとってエンゾはほっといてもいい対象であり、身を削って育てる義務はない。でもダミアンはエンゾを育て、学校に行かせます。ダミアンはそもそもとても不器用なだけ。そして優しすぎる。そういう人間の行き場がベルサイユ宮殿の森であり、路上であるのです。
ダミアンにしろエンゾの母親にしろ身勝手な様に見えますが、彼らなりに必死に生きているのかもしれません。ダミアンの様な人は世界中で増えており、先進国と言われる日本でも貧困化が進んでいます。6人に1人の子供が貧困状態となっていますが、エンゾの様な子供に罪があるとは、自己責任があるとは思えません。子供の貧困化を防ぐには、親を貧困化させないことにつきるのではないのでしょうか。そして、「自己責任」という言葉の意味を改めて考えてみたいと思います。
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