「電球が切れたのは神の思し召し?」ダウト あるカトリック学校で kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
電球が切れたのは神の思し召し?
1964年当時はどのくらい性的虐待が話題になっていたのであろうか。ケネディ大統領が暗殺された翌年のこと。人々が不安になっていたことは否めないが、今作のメリル・ストリープほど疑心暗鬼になるのも異常事態。冒頭のフリン神父(ホフマン)の説教でも“疑惑”について語られているものの、噂に惑わされるだけでは何ともならない。
発端や経緯はともあれ、初の黒人生徒を受入れることがどれだけ波紋を呼んでしまうのか、そこまで汲み取れば執拗な追求などなかったろうに。ウィリアム・ロンドンという不良がかった生徒がシスター・ジェイムズ(エイミー・アダムス)の腕を掴んだだけで校長室に呼ばれる潔癖なミッションスクールなのだ。ワインは飲ませてないというのも真実だろうけど、ドナルドを触っただけでも糾弾されるのだろう。
些細なことであっても校長とそのまま対立するのは辛い。潔く学校を去るという選択肢をとったフリン神父の気持ちも伝わってくる。前職場に電話をかけたのは嘘であり、それで動揺したフリンが辞めたことが告解に他ならない・・・それだけ。性犯罪者は繰り返すというテーマではないんだけどなぁ。法廷モノじゃないだけに、「疑わしきは罰せず」の原理の真逆を行ってるところが凄いわ。
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