「そこでゲロッちゃいましたか(苦笑)」フロスト×ニクソン あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
そこでゲロッちゃいましたか(苦笑)
2008年製作のアメリカ映画。122分。前FRB議長のアラン・グリーンスパン氏は、歴代のアメリカ大統領で、カメラを前にしてパフォーマンスが最もうまかったのは、クリントンとニクソンだったと言います。本作は、そんな後者のニクソン氏が、退陣後に出演した伝説のインタビュー番組を扱った作品でございます。
テレビショー司会者のフロストは、キャリアの脱皮を図ろうとウォーターゲート事件で辞任したニクソンをインタビューする番組を企画します。ニクソンはそのオファーを、自らの政界復帰という思惑で受けます。そして、収録現場で展開される両者の火花が、本作の見どころとなっています。
なんとか本音を引き出そうとするフロストと、狸の皮をかぶりつづけるニクソンの、いたちごっこな心理戦を通して、メディアと政治の世界の本質が垣間見れるのが興味深い。
個人的に政治家という人種はどうしても好きになれないのですが、幼なじみに一人政治家になってしまった人がいて、彼の選挙活動を通して、政治家というのは総合職なのだなと思ったものです。そして本作のニクソンはまさにその匠の領域。こういう能力を手に入れられるなら欲しいとさえ思いました。
映画全体としては手堅くまとめてきたなという感じ。それでもAランクをつけたくなったのは、主演二人の手堅くない演技に感動したからです。表情のアップが映画の最大の見せどころになるという難しい本作で、主演二人は見事にその職務をまっとうしています。
一瞬にして表情がくもるニクソンと、ギラッと輝くフロストの後半の演技は感涙もの。ある意味、自分の顔ほどコントロールできないものはないと思う(特に目の動き)。
それにしても、ニクソンさん。。。映画観ながら結構応援してたのに、あんな所でボロがでるとは。。。
これだから人間ってやめられない。