「負け犬版ロッキー」レスラー あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
負け犬版ロッキー
2008年アメリカ・フランス合作映画。109分。今年16本目の作品。本作の監督、ダーレン・アロノフスキーにはかなり昔に悲惨な思いをさせられました。それ以来、この人は極度のスランプに陥ったらしく内心とても喜んでいました。
内容は;
1、かつて一世を風靡したレスラーも今では完全に下火で、老体に鞭を打ちながら安上がりのプロレスに出ている。
2、しかし心臓発作に襲われ医師から引退を宣告される。
3、引退する主人公だったが人生は空回りの連続、そこにビックイベントのオファーが来る。
電話をかけるときは近くの公衆電話からで平日は派遣日雇い労働者をしながら毎日がギリギリの生活。そして憂さ晴らしにストリップバーに行き、お気に入りにの女の子を口説くことに一生懸命。
学もなければオツムもない。でも一つだけ人生をかけて一生懸命やってきたものがある。それだけで、この主人公はただのオッサンとは一味も二味も、実は違う。
このただならぬオッサンは人生の幸福を片手さえ差し出せば手に入れることができた。それでも、それが出来なかった。もう愛だの幸福だのが何なのか分らなくなるまでに、彼は自分のことが嫌いで嫌いでたまらなかったのでしょう。
大人になりきれなかったことが彼の人生に重くのしかかっていたのです。そして、わたくしにもそういう所があるので観ていて同情を超えて辛いものがありました。これが男の性というものなのでしょうか。
かつて大スターだったミッキー・ロークが何の違和感もなくこの役を演じているだけで本作は素晴らしいものになっています。
観てよかった映画でした。
でも、やっぱりこの監督さん嫌いです。
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