「いい映画だと思います!」レイチェルの結婚 mimoさんの映画レビュー(感想・評価)
いい映画だと思います!
この映画を借りてみようと思ったきっかけはただただ、セバスチャンスタンが出てるからってだけ。結局、この映画にセバスチャンスタンが出てくるのは冒頭のたった数十秒だけだった。
でも、めぐり合わせってすごい。この映画を人生で1度だけでも見ててよかったと本気で思う。
見始めた時は正直、あー失敗した、と思った。何よりカメラワークがあまりにもハンドカメラ感満載で、不安定でブレブレで見てる方が目が回りそうなくらいだったからだ。けど、これがこの映画の最大の良さだと私は思う。ハンドカメラで撮った結婚式前後の家族の様子は、ドキュメンタリーのような、家族が思い出に残すために撮ったかのようなリアリティーがあり、リアルであるからこそ、自分がその場にいるような家族の一員であるような不思議な感覚に、主観的に見ることが出来る。けれど反対に、これはある一家の話です。とドキュメンタリーのように客観的に見ることが出来る。また、不安定なキム含め周りの家族の心情に合わせ、カメラも不安定になっていく。面白くて、斬新で、ある意味単純な演出に、いい意味でだまされたと思ったのがこの映画の一番の印象である。
アメリカの自然豊かな場所で繰り広げられるバラバラになっている家族のお話。薬物中毒が原因で弟を亡くす事故を起こしたキム、施設から帰ってくると、自分を腫れ物扱いする父や、また怖い、危なっかしい、ことをするのではないかという結婚式ならではの周りの目線、施設に閉じ込められてすぐなのに、主役は姉レイチェル、この全てに納得いかず、イライラすると共に、イライラするが故に更に家族の傷をえぐっていくような発言行動を、次々にしてしまう。
結婚式を、すぐに控えた姉レイチェル。妹にかかりっきりな家族に不快感を持っていたが、今は自分の結婚式、やっと自分が主役、そう思っていた矢先、祝の席で施設の話や薬をやっていた話をしだすキムの自己中さに腹を立てる。
父は家族を守るために必死。母は離婚したため、家族の少し距離を持っている。
複雑が故に一見、深刻で暗く重いストーリーに見えるが、結婚式ならではの明るさと音楽がいい具合にギリギリのバランスを保っている。
俳優陣の演技は素晴らしすぎて、ほんとに実話なのではないかと思うほど。
これだけ大変な映画なのに、何故か後味はいい意味でさっぱり。きっと監督の伝えたいことは明確で私たち自身にも当てはまる身近なことであるからだと思う。ただ、これを言葉にするのは難しい。思い出せなかったら見返すべきなほど本当に素晴らしい映画。