「なけるもんか。」なくもんか ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
なけるもんか。
「舞妓 Haaaan!!!」の宮藤官九郎、水田伸生、阿部サダヲが
再結集して作ったワリには、かなりノーマルな作品だった。
クドカンの脚本も今回はかなり普通で控えめ。
演じる阿部サダも普段のテンションをかなり下げての好演。
喋りが苦手な瑛太(爆)に笑いをとらせるなんてことまでして。
なんだ?新たなチャレンジか?と思ってしまった^^;
番宣で阿部サダがそのことに触れており、
やはり普段のテンションとはまるで違う脚本に驚いたそうだ。
でも今作を観て、台本通りに演じ分ける俳優も達者だよなと、
改めて阿部サダヲという役者魂に感嘆した。
彼でなくても演じられる役を(ムリな部分もあるにせよ^^;)
サラリと演じ、竹内結子や瑛太を盛り上げる位置に乗じた。
彼なりに「目立つもんか」という感じである。
で、その引き立てでかなり良かったのが妻役の竹内結子で、
いつもの演技を笑攻撃的に演じ、夫を慕う妻を好演している。
じゃあ俺も頑張らなければ、と瑛太はかなり空回り気味に?
笑いのとれない情けない弟を好演、最後まですべっている。
二人とも「負けるもんか」の境地で演じている。
この人が描く世界観は、観る方をもかなり選ぶが^^;
演じる方も、つかむまでが大変なのでは?と思う。
人情的なほのぼの場面の次のシーンでいきなり暴力とか、
ブスだデブだ痴呆だと言えない台詞をも平気で吐かせる。
まさに「一筋縄でいくもんか」の独善先行主義。
それでもどこかで、あーそうなんだよねぇ。と分かる自分が
現れるのが観ていてなんとも不思議なのだ。
面白かったのは、人間の裏事情をサラリと見せるところだ。
主人公がイイ人。で通している裏ではあんなことをしていた。
エコだエコだと喚いているお偉いさん。も裏ではこんなだった。
相方を支える先輩。も実は相方より情けない裏を抱えていた。
今作に出てくる人間たちは、皆何かしらの裏事情を抱えつつ
それでも笑顔で踏ん張り生きている普通の人間たちだった。
人生なんて皆こんなもんですよ。と
後ろで、皆川猿時に笑われているような寒気も覚えるが^^;
あの商店街であのハムカツはぜひ並んででも食べてみたい。
ハムカツといえば、子供の頃に毎度薄いものを食べていた。
でも学校給食のソースだけは「かけるもんか」の境地である。
(お母さんにはタモリ倶楽部やブラタモリを見せたらどうだろう)