「世界を巻き込んだ「ごっこ遊び」最終章」20世紀少年 最終章 ぼくらの旗 だいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
世界を巻き込んだ「ごっこ遊び」最終章
少年時代に近所の原っぱで秘密基地を作って遊んでいたケンヂ達。
「よげんのしょ」を作って、悪の組織に立ち向かう正義の味方を夢見ていた子供たち。
彼らは大人になり、子供の頃に夢見た通りに、「ともだち」に立ち向かうことになります。
「ともだち」は2000年と2015年にウイルスをばら撒き、世界を支配します。
そして、2017年(ともだち歴3年)・・・
全2作のストーリーを受けての「最終章」だけに、全てでは無いですけどほとんどの謎や伏線が解決します。「アレだけの壮大な物語をよくまとめたなぁ」と、本当に感心しますね。
60歳近い年齢になっている「原っぱのメンバー」のメイクと演技も良かったです。素顔の「ともだち」が全く老けてなかったのが謎ですけど(苦笑)
最後の「音楽フェス」でケンヂが歌うシーンは感動しました。ケンヂは「ロックで世界を変える」ことができたんだと思います。
「ともだち」が「よげんのしょ」通りに世界制服を実行した理由・・・。
僕なりに解釈してみると、
少年時代に「ともだち」は地球防衛軍のバッジを万引きしたという濡れ衣を着せられ、
同級生から「死刑宣告」をされて死んだことにされてしまう(つまり、無視される)。
「ともだち」は、イジメに耐え切れず不登校になる。
「ともだち」は「原っぱの秘密基地のメンバー」に入りたかった。
ケンヂと友達になりたかった。でも↑の出来事や「ともだち」の元々の性格もあって、言い出せなかった。
ケンヂ達がいない間に、秘密基地に入って「よげんのしょ」を見た「ともだち」は、サダキヨ・ヤマネと一緒に「しん・よげんのしょ」を作る。
で、中学時代。
自分はこの世に必要ない人間だと思って自殺しようとする「ともだち」を救ったのが、
ケンヂが放送室を占拠して流したT-REXの「20th Century Boy」だった。
大人になっても「ともだち」の「ケンジと遊びたい」という気持ちは変わらなかった。
そして、「よげんのしょ」の実行に移す・・・。
全ては【ケンヂとずっと遊びたい。本当の友達になりたい。】
そのために・・・。
イジメられっ子の心理。
これを理解出来るかどうかで、この映画の評価は分かれると思います。
確かに「ともだち」のケンヂに対する思いは、かなり屈折しています。
でも、僕は映画を最後まで観て「ともだち」の気持ちが何となく理解できました。
みんな、自分のことなんて覚えていない。
自分は「悪役」でもいい。
「悪役」でもいいから、自分の事を覚えていて欲しい。
本当の「ともだち」がほしい。
「ともだち」は、孤独だったんだと思います。
「ともだち」の周囲にいた幹部も結局は「ともだち」を裏切ってしまう・・・。
それだけに、最後の10分が救いになりました。
もちろん、バーチャル世界での出来事だから、現実ではないです。
でも、少なくとも、ケンヂの中では「ともだち」への償いができた。
ケンヂの記憶の中で「ともだち」は生き続ける・・・。
「ともだち」にとって、これ以上の幸せはないだろうな・・・。
僕の勝手な解釈ですけど、そう思うんです。
ラスト10分で作品の印象がガラッと変わりました。
「20世紀少年」は、本当に良い作品だと思います。
それにしても 大人の「カツマタくん(フクベエ)」を演じた佐々木蔵之介さんのクライマックスの演技は凄かった。
中学時代の「カツマタくん(フクベエ)」を演じた神木隆之介くんの、あの存在感と演技も素晴らしかった。
2人とも、見事に「ともだち=カツマタくん(フクベエ)」の内面を表現してましたね。
ホント、役者って凄いです。