イレイザーヘッドのレビュー・感想・評価
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令和6年9月28日 新文芸坐「倒錯するカルト映画の世界」にて鑑賞①
ある時こちらのとあるレビュアーさんのレビューを読んで、自分が憧れはあるものの未だに名画座というものに行ったことが無い事を思い出したのです。
そして何の気なしにその旨をコメントしたら、なんと!そのレビュアーさんが私の居住区から行きやすい名画座を教えてくださったのです!
おほーこれはありがたい!という事でさっそく教えてくださった名画座を調べてみると、池袋の新文芸坐にてオールナイト上映であるこの企画がある事を知りました。
この企画の上映作品は4作品。
「イレイザーヘッド」(77年)
「マルチプル・マニアックス」(70年)
「リキッド・スカイ」(82年)
「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(68年)
という文句なしの布陣です!……正直「マルチプル~」は監督の名前しか知りませんし、「リキッド・スカイ」も初めて名前を聞く映画なのですが、私のお目当ては何と言ってもオープニングを務める「イレイザーヘッド」です!
最初にこの映画を見たのは配信でであり、その時から作品の意味は分からないけど映画館映えしそうな作品だと思っていたのです。なのでその作品を劇場で観られる喜びと、その貴重な機会を得る切欠をくださったレビュアーさんへの感謝と共に今回は書いていきたいと思います。
そもそも私にとって名画座とは、ボロボロの座席、黄ばんだスクリーン、タバコの臭いが染みついた場内で古いモノクロ映画を流している場所であり、まばらの客のほとんどは上映中の映画をただ虚ろな目で眺めているだけで、中にはイビキをかいて寝ている者もあります。みんな始発電車までの時間をつぶすためだけにここに居るのです。という様などこで抱いたかは知りませんが、そんな危険で退廃的な大人の臭い漂う空間のイメージでした。
ところが今回訪れた池袋の新文芸坐の綺麗な事といったらまぁ!そこには危険で退廃的な臭いなど微塵もありません!確かに映画館自体がパチンコ屋と同じビルに入っているため、劇場に入る際に景品交換所に並ぶ人の列が交差点の真ん中あたりまで伸びている場面に出くわした時は変な緊張感が走りましたが、劇場に入ってしまえばそんな退廃的な空気は消え去ります。座席だって下手なシネコンより綺麗で、なにより前列との間隔が広い!
私は今夏から以前に比べてだいぶ映画館へ行くようになりましたが、劇場の座席ってこんなに座り心地悪かったっけ?と思っていたため、こんなにゆったりと座れる座席は子供の頃ぶりでした。そして何より人が多い!しかも大学生くらいの若い人もかなりの数おり、小さなロビーは人で溢れて活気に満ちているのです。
この意外な熱気に煽られながらこれから朝まで映画を観るのかと思うと少し気後れする思いだったのですが、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」のパンフレットに目を落としている同じ列の一つ席を空けた隣に座る白髪の背広姿の男性。彼が場内が暗転するその瞬間「あの野郎、ふざけやがって…」と声に出して呟いた時、あぁ名画座で映画を観るのだなぁという実感が湧いてきたのです―。
真っ暗な場内で光り輝くのは目の前の巨大なスクリーンだけ。
そこに映しだされる「ERASERHEAD」のタイトルと巨大な泥団子(というよりフンコロガシが丸めた糞)のような物体。そしてヌッと顔の半分を覗かせる主人公のヘンリー。しかし正面向きの顔は何故か観客に対して90度の角度です。
もう既に意味が分からないのですが、そこからデヴィッド・リンチのグロテスクなセンスとユーモアにより描かれる悪夢のような90分。
この映画は男が自身の性へ抱いている本音を赤裸々につづった作品です。(たぶん……)
「愛」というものが良く分からない曖昧なものである事に比べ、「性欲」というものが余りに分かりやすく確かであるがゆえに発生する愛なき性交渉。
しかしその一時の衝動を満たした先に生じるのは、恋人の実家でその家族と共にする居心地の悪い夕食であり、排泄と似たような行為により命が生まれるという事の神秘と嫌悪感であり、そうしてできた家族という他人との生活の鬱陶しさなのです。
少々古い感覚のなのでしょうが色恋の果てに「責任をとる」という言葉が使われる事があります。何故「責任」などという重く義務的な言葉が使われるのでしょうか?そんな言葉が使われるのは、あながち「愛」に対しての照れや謙遜だけではないのでしょう。
そしてそんな「責任」が果たせなかった主人公:ヘンリーは、自分の性欲の結果に出来上がった家庭を自らの手で壊し、“おたふく顔”のマリリン・モンローと抱き合いながらまばゆい閃光の中に消えていきます。
降り注ぐオタマジャクシを笑顔で避けながら踏みつぶしていく“おたふく顔”のマリリン・モンローは男の性的欲求を無責任にぶつけても、まったくリスクのない理想的な相手であるかのようです。
と、ここまで書いたものの、これはあくまでも私個人がこの作品について漠然と感じた事ですので全くの見当違いかもしれません。ただ仮にこの解釈で作品を観た時に、この作品に共感したり楽しんだりする事が正しい事なのかと言うと、それはまた別の話だと思うのです。もし本当にこの様な「男は下半身に支配された生き物なのである!」という事を描いた映画であるならば世の多くの方が理解や共感をする必要は全くない作品だと思うのです。倫理的に。
しかしこの社会を保つのに必要な倫理観にホンのちょっと挑むようなフィクション。あくまでもフィクションと割り切って息抜き程度の気持ちで鑑賞する分には何とも言えない後ろめたさと共にある種の快感を与えてくれる作品なのです。
そもそも「カルト映画」というものの正しい定義を私は知りませんが、こういった後ろめたさと背中合わせの楽しさというものを提供してみせるのが「カルト映画」なのではと思わせる、そんな映画なのです。
繰り返しになりますがこれは私個人の漠然とした解釈の上での話です。なので作品の正しい意味は正直分かっていません。ただそれでも今回この映画を劇場で鑑賞した事で作品世界を十二分に体感できたという実感があります。
ラストの閃光は劇場のスクリーンで観ると本当に目がくらむほどの眩しさですし、この映画は全編を通して“ゴー”“ガー”“キー”と観る者の神経を圧迫する様な何らかの音が常に鳴っています。こうした演出の一つ一つを全身で体感するというのは劇場での鑑賞ならではの体験でしたし、なによりモノクロの映画とはこれほど劇場で映えるものなのかという驚きがありました。スクリーンの事を「銀幕」と呼ぶ理由がよく分かった気がするのです。
面白い作品なら家で観ても面白いだろうとずっと思っていたのですが、映画館で観るからこそ感じる面白さがあるという事を実感させられた、そんな今回の体験だったのです。
赤ん坊こわっ
あの赤ん坊はどーやって作っているのか?生々しさというか本当に生まれてきたんじゃないかと錯覚させるクオリティ。映画全体も意味不明で終始暗く暗澹とした空気が満ち満ちている。だがどこか嫌いにはなれない…。
天国では、すべてがうまくいっているのです。
私たちは、映画は「人を幸せにする」(ユーフォリア)ものであるべきだと考えています。いや、そうあるべきだと考えています。もちろん、そこに至るまでには茨の道があった。
私は、少しでも性的描写があれば「映画は芸術版ポルノだ」と言い、中高生の頃は主に「エロティック」な映画(『時計じかけのオレンジ』がその筆頭)を見ていました。
今思えば、"愚かな観客 "であった。しかし、ある日、私に変化が訪れました。私は、映画との出会いが人生を変えると思っているのですが、その出会った映画が『マルホランド・ドライブ』で、「こんな映画は見たことがない」と、私の映画観をひっくり返されました。
それまでは、なんとデヴィッド・リンチという名前すら知らなかったのです(恥ずかしながら‼︎)。
記憶では、12歳から13歳の間に、このシュールでショービズ狂いのエンターテイメントを少なくとも10回は見て、飽きないどころか、引き込まれたのです。それって、すごいことだと思いませんか?
つまり、「私の人生の中で『記念碑的』な映画だった」(映画館での最強体験は『王の帰還』を見たとき)......。
だから、偉大な映画作家のこの作品を見なければならなかった。それに比べれば、『ロスト・ハイウェイ』なんて取るに足らない映画だった。
正直なところ、よくわからないが、世間では評判が良かったようだ。しかし、これはよくある現象である。
友人が「この映画、面白いよ」と言うので、その意見に乗っかって観てみたら、実はそれほど面白くなかったということです。
今では、"映画は自分で選ぶ "というのが、私の「ルール」であり「モットー」になっています。
リンチの最高傑作と言われる『ブルー・ベルベット』でさえ、本当にひどかった。"デヴィッド・リンチの何がそんなに面白いんですか?" とよく聞かれる。この問いに答えるのは難しい。
実際、『マルホランド・ドライブ』1本で映画界を引退していたとしても、デヴィッド・リンチはシュールレアリスム映画の帝王として崇められていただろうが、私の「リンチ体験」はそこで終わっている。しかし、私の「リンチ体験」を古典に戻すきっかけとなったのは『イレイザーヘッド』であり、そこで終わるべきものだったのです。
精神病患者でも持て余す(リンチが精神病を描くとしたら、確かに下手くそだ)この不気味で悪夢のような映画は1978年に公開され、すぐに人気を得ることはなかったが、ドライブインシアターなどで上映され、カルト的な人気を博した。
"何だ、この不気味な映画は?"
この映画が1977年に作られたことを知り、愕然とした。ストーリーに起伏はほとんどなく、映像美もない。
ただ埃っぽい砂だらけの工場地帯が広がっているだけだった。ジャック・ナンス演じる主人公の「特異な髪型」に取り憑かれたエイリアンが、奇形児を産み、継母から性的虐待を受ける。
奇形児を産んで捨てた「狂った婚約者」メアリーと、その性的隣人、そしてメス犬からぽっちゃりおっぱいを吸う子犬たちの物語である。食卓のチキンは時計仕掛けのように動いている。
「奇形」の赤ん坊が泣き、私たちはそれを解剖する。「ゲロ」が喉元まで来て、見ていて痛々しい。正直、気分が悪くなった。私のせいなのか、映画のせいなのか。ジャック・ナンスのせいなのか?
ちなみに、『イレイザーヘッド』が超難解だと決めつけないでください。私にとって、クリストファー・ノーランの映画は難解ですが、デヴィッド・リンチの映画は「観る」立場であれば、それほど難解ではありません。映像は、誰にでも起こりうる世界(例えば、狂気や精神病)を体現しているので、退屈かもしれないが、リンチはそれを "難解" にしようとは思わないだろう。
『イレイザーヘッド』は、要するに、"シュールレアリスム "を装っただけの実験的SF(息の長い "エンターテインメント "ではない)である。
"宇宙空間 "を漂う「ヘンリー」と「奇形児」のツーショットから始まり、やがて "高所 "と "深海 "に不気味な女が現れる。
不気味な女が "In Heaven" を歌うまで、"工場地帯" と "宇宙空間" は繋がっている。「エイリアン・チャイルド」は、「遠い星」の男とヘンリー・スペンサーと「銀河間結合」をしているのである。
タイトルは有名だが初鑑賞
たまたま都内ミニ系で公開し初鑑賞 この作品はキューブリックや国内なら大林監督の様に作品の趣向を承知の上での観る作品かと そんなに大昔の作品じゃないのに意図的に古臭く作り不可解感はよく描けてる今ならR指定で地上波は不可かな!?
イカれてる♪
な、なんじゃ、こりゃ!この先に何が待ち受けているんだと期待感満載のぶっ飛んだオープニング。モノクロ映像のイカれたカルトの世界へようこそ。観る人を選ぶ作品だけど、嫌いじゃないぞ、この映画。賞賛を込めて最高にイカれてるで賞を贈りたい!モジャモジャ頭君の運命やいかに
【不穏すぎる、異形ムービー。不穏で、グロテスクで、その後のデヴィッド・リンチ監督ワールドの萌芽を感じさせる作品。】
ー デヴィッド・リンチ監督の、本作の製作意図をキチンと語れる人は、いるのだろうか・・。ー
・変な頭髪の男、ヘンリーはふらふらと廃墟を歩いている。
・アパートに戻ると、向かいの部屋の女性から”メアリー・X”の家族が夕食に招待したいと言っていたと告げられる。
・”メアリー・X”の家族との夕食
ー ローストチキンみたいな料理の、手羽が動いている・・。
そして、ヘンリーと、”メアリーX”の間に子供が生まれたと言われる。
□その子供???の容姿がグロテスク極まりない。
胎児のような、頭。身体は包帯に包まれている。
ヌメヌメした肌。
・メアリーは、その子供の出す声に堪えられず、出ていく。
・イキナリ、頬が膨れた女が、明るい歌を歌い出す・・。
ー 何を観ているんだろう・・、私は。ー
・ヘンリーは、子供???の包帯を鋏で切り、身体を刺す。ドロドロとした液体が、子供???の口から吐き出される。
<全編、風の様なノイズを背景に、異形物語は続く。
製作期間は4年もかかり、奥さんは愛想を尽かして去り・・。
けれども、ナント、この作品は徐々に口コミで広がり、3年のロングランを記録。
で、デヴィッド・リンチ監督は、コレマタ異形映画「エレファントマン」を制作し、大ヒットし、スター監督になるのである・・。
只、その次の「砂の惑星」は大失敗作となった・・。
不穏で、グロテスクで、その後のデヴィッド・リンチ監督ワールドの萌芽を感じさせる作品。>
最後まで画面に引き付ける不思議な力を持った作品
映画
『イレイザーヘッド』
の感想をブログに上げました。
『巨匠を観る』企画、10作目(全27作)の映画です。
監督:デヴィッド・リンチ
制作年:1977年
制作国:アメリカ
【あらすじ】
印刷工として働くヘンリー。
恋人から自宅に呼ばれ、家族と一緒に食事をしますが、動き出す肉、恋人の突然の発作、母親の奇行等、異常な食事会。
母親からは恋人に未熟児が生まれた事を告げられ、肉体関係があるのであれば結婚して子供を育てるように言われるが。。。
【感想】
現実感のない世界で、ひたすら気持ち悪さ、不気味さ、怖さ、そして異常な笑いを感じるカルト映画です。
ストーリー的に引き込まれる映画ではないですが、最後まで画面に引き付ける不思議な力を持った作品です。
子育てをする父親には響く映画かも知れません。。。
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ブログの方では、ネタバレありで個人感想の詳細とネット上での評判等を纏めています。
興味を持って頂けたら、プロフィールから見て頂けると嬉しいです。
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終始気味が悪い
初めから終わりまで一貫して気味が悪い作品。
ストーリーもよくわからず、作品を通じての一貫性は「気味が悪い」だけ。だがそれがピンピンに尖っている。
作者の意図や時代背景などのコンテクストを知ると見え方が変わる気もするが、それらが無くても一定楽しめる。
何より、現実がいかに美しいか、秩序だっているか、が感じられる。何が起きてもこの世界観よりはマシだと思えるので、世の不条理に悩んでいる人にオススメしたい作品。
デヴィッド・リンチの洗礼を受けた。
恋人に子供がいると発覚し、突然父親になった男が悪夢のような出来事に遭遇していく話。
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この映画、話なんてあってないようなものでとにかくずっと不快な音が何かしら鳴っていて、世界観もまっじで意味不明。
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子供はE.Tをもっとツヤツヤにしてちっちゃくしたよく分からん生物だし、変な顔した天使みたいな女の人いるし(全部ネットで調べたら写真出てくるから見てみて)、全てになにかの意味があるのかもしれないけど、このイヤな感じの世界に何か意味なんてあって欲しくないと謎の願いをしたくなる。
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私的一番嫌だったのは、恋人のお父さんがずっと奇妙な笑顔を主人公に向けてるシーンがあって、その顔が目が笑ってないし、不自然に全く動かないし気持ち悪かったわぁ。
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でもあの最後の子供が××になるシーン、どうやって何を使って作ったのかめっちゃ気になる。なんかの動物のなんかの部位っぽいし、てかそもそもあのモンスターリアルすぎる。
苦手な監督の一人!!
私もアパートで一人暮らし、最近髪がボサボサ、日夜隣室から女性の奇声がするので観てみました。雰囲気だけで特に内容は無く、生活感も無く、1時間半でも非常に長く感じて退屈でした。同じ監督の別の映画も観ましたが、全く同じ感じで好きにはなれませんでした。
キモい!ヘンタイ!笑かすな!
基本的に全編通して気持ち悪いんだけど、
ちょっとクスっとなるところもある。
まずこの題「イレイザーヘッド」。
鉛筆につく消しゴムのような髪型をした主人公ヘンリーと、彼の生首を原料に消しゴム鉛筆が生産される劇中の悪夢を指している。
あと意外とヘンリーは子育てに頑張っているのも笑える。
個人的だけど奇形児が意外と可愛くて、それをまさかあんな風になっちゃうのが悲しくてしょうがなかった。
リンチの長編処女作。
現実と不条理の夢の世界が交錯する、リンチお得意のナンセンスさ。意味がないようで意味のある部分がいい。
印刷工のヘンリーは話があるからといってメアリーX(スチュワート)の両親からディナーに招待されたわけだが、出されたチキンは動いていて、汁がドドッと溢れてくる。そこがチキンファミリーの特異さだったのだろうが、とにかく次の場面が新婚生活。赤ん坊の泣き声がうるさいからと言って新妻は実家に帰ったりする(笑)。ひな鳥に似てるというより、顔は鳥そのもの。不気味であってもそのうち情が湧いてくる哀しさ。しかし、女房の身体から気持ち悪いものがいっぱい出てきたり、頬にコブがついてる少女がステージで踊るという悪夢。なぜか、アパートのセクシーな隣人と一夜限りの関係を持ったりして、その晩には自分の首が飛び、それが鉛筆工場で消しゴムにされるという悪夢。最後には興味本位で赤ん坊の身体に巻き付いた包帯を切ると、そこには内臓がむき出しになった姿が・・・
カルトすぎる内容だけど、オープニングから惹かれてしまう(笑)。多分受精シーンを気持ち悪く描いているのだろうけど、その気持ち悪い物体(オープニングでは精子だと思っていた)が後半にどんどん出てくるところが凄い。この精子の意味するところは主人公ヘンリーの欲望そのものであったに違いないが、それを戸棚にしまってあるのが彼の禁欲を意図するところか。この気味悪い生きた物体が精子だと仮定すると、全体的な意味がよく伝わってくる。
愛の有り無しによって見えるもの全てが違ってくることを映像で示してみせる
イレイザーヘッドとは、ゴム消しの付いた鉛筆の頭のこと
我々は鉛筆であり、それぞれに人生を綴る
しかし書き間違えたので消し去りたいこともある
もしゴム消し付きの鉛筆だったら便利だろう
だから主人公のヘアスタイルはそれを模しているのだ
望まない出産による結婚
夜泣きして眠らせてはくれない赤ん坊
歯ぎしりをして狭いベッドで押し合う新婚の妻
現実の姿はこれだ
もしそこに愛が無かったとしたら、どのように見えるのか
それをシュールリアリズムの絵画のような作法で映画を撮れば、それが本作になるのだ
不気味な新生児は精子のカリカチュアだ
冒頭から妊娠の瞬間を映像として見せている
主人公をオーバーラップさせて誰の子になるのかを明示する
産まれ出た新生児はその精子の巨大化したもの
愛が無ければそのようにしかみえないだけだ
常に不気味なノイズが鳴り続け、暗い夜には寒風の音が吹き荒れる
鉢は見えず土がサイドテーブルに積まれそこに枯木が植えられている殺風景な狭い新婚の部屋
愛が無ければあらゆるものが全てこの様に見えるのだ
だが、庇護を求めて頼りなく泣き続けるその声は普通に人間の赤ん坊ではないか
愛が有れば普通に人間の赤ん坊に見えるはずなのだ
子供を育てた経験があるなら誰しも夜泣きに苛立った事が必ずあるはず
酷ければその子の死さえ願うことも合ったかも知れない
消し去りたい記憶だ
主人公の頭が取れて、不気味な赤ん坊の頭が取れた首から頭を出す
頭は床に転がり血の海が広がる
赤ん坊中心の生活になり、自分の時間は取れなくなる、やりたい事が全然やれない
自分が自分でなくなる
頭が取れて替わりに異形の赤ん坊の頭がのぞくのは、その表現だ
落ちてしまったその頭を材料にゴム消し付きの鉛筆を作ると品質は合格だ
記憶を擦って消してゴムカスにして机から捨て去りたい
異形のマリリンモンローが白黒タイルのステージで歌う
その足が巨大化した沢山の精子を踏みつけ潰し去る
アイドルのグラビアでマスターベーションした過去の記憶も消し去りたい
家で赤ん坊が待ってるいるのに、セクシー美女と遊びたい
隣の親父みたいに不倫してみたい
これも消し去りたい
最終的には異形の赤ん坊は殺され、主人公は白い光に包まれて背を向ける
この物語自体が消し去りたい記憶
妄想であったのかも知れない
それは望まない妊娠の前に中絶を選ぶのか、どうするのかの一瞬頭を過った妄想の物語だったのかも知れない
いや、きっと訪れるであろう未来を悲観して妄想した結末
それはすなわち中絶を選択しない結末ということではないか
それがあの白い光の意味なのだろうと思いたい
イレイザーヘッドとはそんな映画だ
しかしデビット・リンチ監督の作品は疲れる
斜に構えてその意味を推し量ることに意識をもって見なければならないからだ
もっと素直になれないものか
とはいえ、このような前衛的な方法以外に、一体どのような表現方法が本作のテーマを具象化できると言えるだろうか
この画期的な映像表現を考え出した監督の才能はやはり卓越していると言わざるを得ない
奇策にワクワク
デヴィッド・リンチ監督作品はこれが初鑑賞。評判通りの超奇作な内容で次々に起こる怪奇現象に夢中になりワクワクした。もっとエグイ内容でも良かったくらいで少々不満気味(笑)
前列で一人鑑賞していた太腿丸出しの若き女子が、所々で前のめりになって観ている姿が印象的。
2018-133
わけわかんねぇ…
デヴィッド・リンチ監督の作品は本作が初。自分にとってはかなり衝撃的だった。
ストーリーがまず難解。何を意味しているのかわからない対象が多いし、流れもたまにわからなくなる。メタファーだなとわかる部分はあるが、全体的に謎が多い。また、ほぼずっと鳴っている不快音とモノクロ描写、シュールな人間達により、かなり怖い雰囲気が漂う。
鑑賞後に本作の解説を読み、デヴィッド・リンチ監督自身を投影した作品であるという背景がわかったときには、なんとなく許す気になってしまった。
とにかく今まで見た映画のなかで一番謎めいてたし、気味が悪かった。それもあってか、おそらく今後この作品のことは忘れないであろう。それだけ、私には衝撃的であった…
「デヴィッド・リンチの映画」特集上映
2018年、映画館での鑑賞一発目が新作では無くこの作品になろうとは!?
首チョンパ!の鉛筆工場に何かヲ操縦している男から歌っている女に不気味でシュール過ぎる家族での食事会に煙草咥えたままのババァなどキリがない位に奇想天外なヘンテコのオンパレード。
これをコツコツと5年も掛けて完成させるしかも長編デビュー作とブレないD・リンチ。
最後に撮った「インランド・エンパイア」と難解で斬新な映像描写など似通っているような今まで一貫して良い意味で何も変わらないセンスと世界観に脱帽する。
白黒の映像に不気味な工業地帯とノワール風味?も漂う雰囲気に小道具や美術的センスも圧巻で。
理解しようとか複雑に難しい顔して観るよりも素直にただ身を委ねて好きになれるか?
映画館で観た方が良い作品って色々あるけれど本作は正しく劇場で鑑賞すべき映画だと思う。
あとヤッパり音が凄くて不穏なノイズがヤバい!!
大問題作
印刷工を営むヘンリーはガールフレンドのメアリーから妊娠を告げられ、結婚を決断する。
しかし産まれた赤ん坊は異様に小さく奇形の姿をしており、絶えず続く夜泣きにメアリーはノイローゼになり、家を飛び出してしまう。
そんなり赤ん坊の面倒を見ることになったヘンリーの悪夢のような一夜を描いた巨匠デヴィッドリンチ衝撃のデビュー作。
正直1mmも理解できなかったし、圧倒的に異質な映像と世界観にドン引きして、鑑賞中ずっと顔引きつってたと思う笑。
現実なのか夢なのか見分けもつかないまさに悪魔のような出来事が次々と展開されていき、その全てが圧倒的に理解不能。
まったく肌に合わなかった為、かなり評価の低いトラウマ的作品になりかけているが、こういった独自の世界観を、形はどうであれ映像化できる手腕に心底感心した。
マルホランドドライブもそれなりにしんどい内容だったがそれを遥かに上回っている作品だった笑。
またいつか観たいとは思うけど内容を知ってしまった為、暫くは遠慮したい笑。
赤ん坊との一夜がもちろん1番しんどかったが、メアリーの実家での空気感も異常だった笑。
3.1
もはやホラー。
終始薄暗くて、工場のような音がして、ジメジメして不気味だった。
ネットに詳しく感想を書いている人がいたので、それを見てなんとなくわかったような気がしたけど、初見じゃついていけない。
意味のわからないカットが多すぎる。
製作に5年くらいかかったらしいので、1つ1つ意味があるのだと思うけど、ぼくには理解できない。
「エレファントマン」はもっとわかりやすかった。
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