イレイザーヘッドのレビュー・感想・評価
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デヴィッド・リンチの洗礼を受けた。
恋人に子供がいると発覚し、突然父親になった男が悪夢のような出来事に遭遇していく話。
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この映画、話なんてあってないようなものでとにかくずっと不快な音が何かしら鳴っていて、世界観もまっじで意味不明。
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子供はE.Tをもっとツヤツヤにしてちっちゃくしたよく分からん生物だし、変な顔した天使みたいな女の人いるし(全部ネットで調べたら写真出てくるから見てみて)、全てになにかの意味があるのかもしれないけど、このイヤな感じの世界に何か意味なんてあって欲しくないと謎の願いをしたくなる。
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私的一番嫌だったのは、恋人のお父さんがずっと奇妙な笑顔を主人公に向けてるシーンがあって、その顔が目が笑ってないし、不自然に全く動かないし気持ち悪かったわぁ。
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でもあの最後の子供が××になるシーン、どうやって何を使って作ったのかめっちゃ気になる。なんかの動物のなんかの部位っぽいし、てかそもそもあのモンスターリアルすぎる。
苦手な監督の一人!!
私もアパートで一人暮らし、最近髪がボサボサ、日夜隣室から女性の奇声がするので観てみました。雰囲気だけで特に内容は無く、生活感も無く、1時間半でも非常に長く感じて退屈でした。同じ監督の別の映画も観ましたが、全く同じ感じで好きにはなれませんでした。
キモい!ヘンタイ!笑かすな!
リンチの長編処女作。
現実と不条理の夢の世界が交錯する、リンチお得意のナンセンスさ。意味がないようで意味のある部分がいい。
印刷工のヘンリーは話があるからといってメアリーX(スチュワート)の両親からディナーに招待されたわけだが、出されたチキンは動いていて、汁がドドッと溢れてくる。そこがチキンファミリーの特異さだったのだろうが、とにかく次の場面が新婚生活。赤ん坊の泣き声がうるさいからと言って新妻は実家に帰ったりする(笑)。ひな鳥に似てるというより、顔は鳥そのもの。不気味であってもそのうち情が湧いてくる哀しさ。しかし、女房の身体から気持ち悪いものがいっぱい出てきたり、頬にコブがついてる少女がステージで踊るという悪夢。なぜか、アパートのセクシーな隣人と一夜限りの関係を持ったりして、その晩には自分の首が飛び、それが鉛筆工場で消しゴムにされるという悪夢。最後には興味本位で赤ん坊の身体に巻き付いた包帯を切ると、そこには内臓がむき出しになった姿が・・・
カルトすぎる内容だけど、オープニングから惹かれてしまう(笑)。多分受精シーンを気持ち悪く描いているのだろうけど、その気持ち悪い物体(オープニングでは精子だと思っていた)が後半にどんどん出てくるところが凄い。この精子の意味するところは主人公ヘンリーの欲望そのものであったに違いないが、それを戸棚にしまってあるのが彼の禁欲を意図するところか。この気味悪い生きた物体が精子だと仮定すると、全体的な意味がよく伝わってくる。
愛の有り無しによって見えるもの全てが違ってくることを映像で示してみせる
イレイザーヘッドとは、ゴム消しの付いた鉛筆の頭のこと
我々は鉛筆であり、それぞれに人生を綴る
しかし書き間違えたので消し去りたいこともある
もしゴム消し付きの鉛筆だったら便利だろう
だから主人公のヘアスタイルはそれを模しているのだ
望まない出産による結婚
夜泣きして眠らせてはくれない赤ん坊
歯ぎしりをして狭いベッドで押し合う新婚の妻
現実の姿はこれだ
もしそこに愛が無かったとしたら、どのように見えるのか
それをシュールリアリズムの絵画のような作法で映画を撮れば、それが本作になるのだ
不気味な新生児は精子のカリカチュアだ
冒頭から妊娠の瞬間を映像として見せている
主人公をオーバーラップさせて誰の子になるのかを明示する
産まれ出た新生児はその精子の巨大化したもの
愛が無ければそのようにしかみえないだけだ
常に不気味なノイズが鳴り続け、暗い夜には寒風の音が吹き荒れる
鉢は見えず土がサイドテーブルに積まれそこに枯木が植えられている殺風景な狭い新婚の部屋
愛が無ければあらゆるものが全てこの様に見えるのだ
だが、庇護を求めて頼りなく泣き続けるその声は普通に人間の赤ん坊ではないか
愛が有れば普通に人間の赤ん坊に見えるはずなのだ
子供を育てた経験があるなら誰しも夜泣きに苛立った事が必ずあるはず
酷ければその子の死さえ願うことも合ったかも知れない
消し去りたい記憶だ
主人公の頭が取れて、不気味な赤ん坊の頭が取れた首から頭を出す
頭は床に転がり血の海が広がる
赤ん坊中心の生活になり、自分の時間は取れなくなる、やりたい事が全然やれない
自分が自分でなくなる
頭が取れて替わりに異形の赤ん坊の頭がのぞくのは、その表現だ
落ちてしまったその頭を材料にゴム消し付きの鉛筆を作ると品質は合格だ
記憶を擦って消してゴムカスにして机から捨て去りたい
異形のマリリンモンローが白黒タイルのステージで歌う
その足が巨大化した沢山の精子を踏みつけ潰し去る
アイドルのグラビアでマスターベーションした過去の記憶も消し去りたい
家で赤ん坊が待ってるいるのに、セクシー美女と遊びたい
隣の親父みたいに不倫してみたい
これも消し去りたい
最終的には異形の赤ん坊は殺され、主人公は白い光に包まれて背を向ける
この物語自体が消し去りたい記憶
妄想であったのかも知れない
それは望まない妊娠の前に中絶を選ぶのか、どうするのかの一瞬頭を過った妄想の物語だったのかも知れない
いや、きっと訪れるであろう未来を悲観して妄想した結末
それはすなわち中絶を選択しない結末ということではないか
それがあの白い光の意味なのだろうと思いたい
イレイザーヘッドとはそんな映画だ
しかしデビット・リンチ監督の作品は疲れる
斜に構えてその意味を推し量ることに意識をもって見なければならないからだ
もっと素直になれないものか
とはいえ、このような前衛的な方法以外に、一体どのような表現方法が本作のテーマを具象化できると言えるだろうか
この画期的な映像表現を考え出した監督の才能はやはり卓越していると言わざるを得ない
狂った映画監督の映画
キてるキてる。頭が狂ってますねぇ!
徹頭徹尾イカれた映画だと思いました。精神病を発病せずにギリギリ踏みとどまっているサイコジーニアスのエッセンスが濃度200%詰まった、リンチそのものといった雰囲気の作品ですね。
『マルホランド・ドライブ』でも感じたのですが、ギャグが面白いんですよね。リンチ流キ印ユーモアが個人的にとにかくツボで、全編ニヤニヤしながら観ました。
オープニングのヘンリーの口から根本敬が描くような精子がニュルーンと飛び出したり、嫁一家が全員狂ってたりとキャッチーなところから、ヘンリーの顔芸までとにかく笑えました。BGMが不安を煽るような不気味さがあって、それがまたギャグに思えるんですよね。タメ演出の多用も含めて、とにかくやりすぎ感が可笑しくてしょうがなかった。観客がシーンと観ていたため、ゲラゲラ笑えなかったのですが、小声でブツブツとツッコミを入れながら鑑賞しましたね〜。
中盤の訳わかんない展開も最高としか言えませんね。何あの地獄のマリリン・モンローみたいなヤツ。よくあんなの思いつくな。その後に頭がフッ飛んで、本当にイレイザーヘッドになったり、死ぬかと思いました。何が合格だよ!あの展開は好きすぎる。
そしてあの超キモい嬰児がヤバヤバで、ほんとモノクロで助かりました。あれがカラーだったらグロすぎて観てらんないですよ。wikiを読んだら、どうやって動かしているか、リンチは絶対にネタばらししないため、現在でも謎とのこと。これも絶対ギャグだよなぁ。
あと、意外とヘンリーの部屋もうっすらキモいですね。ベッド横に、盛り土の上に枯れ木を刺したような絶望的なオブジェがあったり、どこを見てもブラックな笑いがハンパないです。
本作はリンチが若くして父親になり、その恐怖を描いたものらしいです。
それでもヘンリーはなんだかんだと子育て頑張ってましたね。キモベイビーが病気になった時に蒸気を当てたり、意外とイクメンなヘンリー。でも頑張りきれないんですよね。そう考えると、虐待してしまう親は、子どもがあんな風に見えてしまい、頑張るものの愛すに愛せず、最終的に…みたいなプロセスを経るパターンもありそうだなぁと思います。
まぁ、よくこんなキてる映画を5年もかけて撮りましたねぇ。病的な執念がないと難しいでしょうし、発病しないように踏ん張るには映画を作り続ける必要があったのかもしれません。
奇策にワクワク
わけわかんねぇ…
デヴィッド・リンチ監督の作品は本作が初。自分にとってはかなり衝撃的だった。
ストーリーがまず難解。何を意味しているのかわからない対象が多いし、流れもたまにわからなくなる。メタファーだなとわかる部分はあるが、全体的に謎が多い。また、ほぼずっと鳴っている不快音とモノクロ描写、シュールな人間達により、かなり怖い雰囲気が漂う。
鑑賞後に本作の解説を読み、デヴィッド・リンチ監督自身を投影した作品であるという背景がわかったときには、なんとなく許す気になってしまった。
とにかく今まで見た映画のなかで一番謎めいてたし、気味が悪かった。それもあってか、おそらく今後この作品のことは忘れないであろう。それだけ、私には衝撃的であった…
「デヴィッド・リンチの映画」特集上映
2018年、映画館での鑑賞一発目が新作では無くこの作品になろうとは!?
首チョンパ!の鉛筆工場に何かヲ操縦している男から歌っている女に不気味でシュール過ぎる家族での食事会に煙草咥えたままのババァなどキリがない位に奇想天外なヘンテコのオンパレード。
これをコツコツと5年も掛けて完成させるしかも長編デビュー作とブレないD・リンチ。
最後に撮った「インランド・エンパイア」と難解で斬新な映像描写など似通っているような今まで一貫して良い意味で何も変わらないセンスと世界観に脱帽する。
白黒の映像に不気味な工業地帯とノワール風味?も漂う雰囲気に小道具や美術的センスも圧巻で。
理解しようとか複雑に難しい顔して観るよりも素直にただ身を委ねて好きになれるか?
映画館で観た方が良い作品って色々あるけれど本作は正しく劇場で鑑賞すべき映画だと思う。
あとヤッパり音が凄くて不穏なノイズがヤバい!!
大問題作
印刷工を営むヘンリーはガールフレンドのメアリーから妊娠を告げられ、結婚を決断する。
しかし産まれた赤ん坊は異様に小さく奇形の姿をしており、絶えず続く夜泣きにメアリーはノイローゼになり、家を飛び出してしまう。
そんなり赤ん坊の面倒を見ることになったヘンリーの悪夢のような一夜を描いた巨匠デヴィッドリンチ衝撃のデビュー作。
正直1mmも理解できなかったし、圧倒的に異質な映像と世界観にドン引きして、鑑賞中ずっと顔引きつってたと思う笑。
現実なのか夢なのか見分けもつかないまさに悪魔のような出来事が次々と展開されていき、その全てが圧倒的に理解不能。
まったく肌に合わなかった為、かなり評価の低いトラウマ的作品になりかけているが、こういった独自の世界観を、形はどうであれ映像化できる手腕に心底感心した。
マルホランドドライブもそれなりにしんどい内容だったがそれを遥かに上回っている作品だった笑。
またいつか観たいとは思うけど内容を知ってしまった為、暫くは遠慮したい笑。
赤ん坊との一夜がもちろん1番しんどかったが、メアリーの実家での空気感も異常だった笑。
3.1
半端ない
時間返して欲しい
怖いけどホラー映画ではない
主人公を取り巻く世界からして、すでに不気味。ローストチキンや、地球外生物のような赤ん坊には、恐怖感を覚える。
それなのに、主人公はその不快感を感じていないようだ。
「正常さがモンスターによって脅かされている状態がホラー映画だ」と何かで読んだ。
正常な登場人物に感情移入して、恐怖を共有してこそホラーならば、これはホラー映画ではない。
かたや、妻や妻の母親と交わす会話では、主人公は正常で、感情移入ができる。
ファミリー映画か?
不本意にも女が妊娠して、心の準備がないまま父になる男のやるせなさ。
世の男性は観るべし。
今野さんがいなければ、このリンチの名作は世にでていなかったかも...
亡くなられた映画・音楽評論家の今野雄二さんは(自殺なんて信じられないのだが)、生前、今野さんしかこの作品を見出さなかったのでは、と思うような、特異な映画を数多く媒体に紹介されていた。その特異な映画のひとつが、デビット・リンチ監督の作品だ。今は、日本の映画ファンの間にも深く認知されているリンチ映画の魅力を、最初に紹介したのは、今野さんだったと記憶している。その今野さんが大推薦したおかげで一般公開されたのが、この「イレイザーヘッド」だった。
「イレイザーヘッド」の前、リンチの映画は「エレファントマン」が公開され、ある程度のヒットを飛ばしていた。しかし、リンチ本来の映画の魅力は、「エレファントマン」のような情緒的なものではないことは、今野さんはすでにご存知だったらしく、翌年からすぐ、「イレイザーヘッド」という映画がリンチの原点、という話をされていた。その熱意が通じたのか、「イレイザーヘッド」は一般公開されたのだ。
ところがこの映画、難解だけでなく、変態的な人間や描写が多い、何とも気味の悪い内容だったことは、すでによく知られているはずだ。実は、私はこの「イレイザーヘッド」を新宿の真夜中の試写会で二回連続で見て、頭がおかしくなりそうになったのを、いまだに記憶している。それくらいに、この映画のインパクトは強烈なものだった。
ただ、今野さんが言う「リンチの原点」だったことは確かなことで、その後の「ブルーベルベット」から「マルホランド・ドライブ」に至るまで、「イレイザーヘッド」で見せた感性が受け継がれていることは、リンチ映画のファンはよく知っており、現在では「イレイザーヘッド」はデビット・リンチを語る上でははずせない、名作の一本となっている。しかし、今野さんの熱意がなければ陽の目を見ることなく、映画史の中に埋もれていた作品だったと思うと、今野さんには最大級の感謝を私は惜しまない。
心から冥福を祈ります。
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