「ヒーロー映画の頂点。男は黙ってアベンジャーズ。」アベンジャーズ クリッターさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒーロー映画の頂点。男は黙ってアベンジャーズ。
自分は今でも後悔している。なぜこの映画を映画館で観なかったのかと。そしてマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)と言うとてつもないシリーズが2008年のアイアンマンから既に始まっていた事実に今更気づいた事を。
ここまで個々のヒーロー達をハイクオリティで提供しておきながら、各作品にリンクを張り巡らせこの作品で一気にクロスオーバーさせると言う反則技を堂々とやってのけるシリーズを他に知らない。
序盤と中盤は各関連作品を観て置かないと少々退屈気味に感じるかも知れないが、関連作品を観てきた人なら中盤におけるヒーロー同士のいがみ合いがたまらなく面白く感じると思う。
トニー・スタークは今までの作品ではジョークを飛ばす軽い男だが、自分の事は自分で解決してきた。
「僕に命令出来るのは僕だけ」とでも言わんばかりに自分のスタイルを決して崩さない。
そんなスタークを見てかつて組織に与し、仲間と共にいつでも全力投球で戦ってきた超真面目で元もやしっこスーパーソルジャー、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースと反りが合う筈がない。
いがみ合いの中心は主にこの二人だ。
「スーツを着ろ。勝負だ。」と正に一触即発の空気に雷神ソーが割って入る。
彼は最初こそ傲慢で力こそ全てだったが、人間と接した事で本当の強さとは何なのかを理解し、本物のヒーローになった。
(アベンジャーズメンバーで一番成長したのは彼だと思う。自ら地球に飛来し、ロキの地球征服に見立てた王になると言う画策を企てた時、「それでは王は務まらない」と言う台詞が何よりの証拠だし、ソーファンの自分には嬉しい限りだった。)
そんな彼だからこそ、互いのエゴをぶつけ合う二人を見て「下らないちっぽけな連中だ。」と罵る。
さらにコズミックキューブを研究した事で人間では決して扱えないパワーを制御しようとする人類の愚かさに苦言と警告を鳴らす。
神ならではの目線だ。
ブラック・ウィドウは唯一の紅一点故に罵詈雑言を浴びせ合う男達に呆れ果てた様子。
フューリー長官はそうせざるを得なかったと弁明しつつ、そうさせたのはお前達だと火に油を注ぐ。
ハルクことブルース・バナーは実験の失敗から今に至るまで、たった一人で生き抜いてきた。皆を危険に遭わせないために。しかしこんな茶番劇に引っ張り出された事で苛立ちを感じ、「僕がどうやって正気を保っていたか教えてやろうか?」とメンバーに半ば脅しの様な言葉をかける。
お互いの主義主張がこの一連の流れ一つで一発で分かる様になってるのが素晴らしい。
そして注目すべきがメンバーが一致団結し、大乱闘と言わんばかりのニューヨーク大決戦。
ここで人物紹介だけで留まっていたホークアイの弓矢さばきがクールに決めてくれる。
カット割をせずにヒーロー達が次々と横切りながらそれぞれの戦い方を見せつけるあのシーンは男なら大興奮間違いないだろう(と思うw)。
どストライクだったのがバック・トゥ・ザ・フューチャーのアラン・シルヴェストリが奏でるあのテーマ曲。
個人的にはスーパーマンのテーマ曲に匹敵すると思ってるし、ヒーロー映画に実にふさわしい最高のテーマ曲だと思う。
核ミサイルをアイアンマンが宇宙空間に飛ばした時のヘリキャリアのオペレーター達の歓声、戦いが終わった後のニューヨーク市民達の「ありがとう、アベンジャーズ」と言う声。
そして戦いを終えたヒーロー達が自分の居場所に散り散りになって帰っていくシーン。
長くなってしまったが、今まで自分のヒーローはウルトラマンしかいないと思っていたが、アメコミヒーローでこんなにかっこいいと思ったのはアベンジャーズが初めてだった。
これこそ真の、そして最高のスーパーヒーロー映画だと思う。