劇場公開日 2010年8月7日

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「アニメの枠を超えた傑作」ヒックとドラゴン マロピさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アニメの枠を超えた傑作

2011年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

楽しい

興奮

まず、この作品は歴史的な(ここまで言っては言い過ぎかもしれないが)、それくらい言ってもいい傑作だ。
少なくとも、僕は自分の子供にこの作品を見せたいと思うし、こういう良質な作品が作れるハリウッドが素晴らしいとも思う。

「アバター」のときも思ったが、最近のアメリカはかつての「敵を圧倒する強いアメリカ」ではなくなってきている。
なんとか「共生」をキーワードにしようとしているフシがある。
かつて先住民を女子供にかかわらず虐殺した国とは思えない。
殺しあってきた敵と、共生の道を探るという方向転換だ。

この作品では人類とドラゴンという異種間を平和へ導こうとする挑戦を見事に描ききった、ある意味、今や世界中で繰り広げられている紛争などの回答としてもみれる非常に大人にも重い問いを投げかける恐るべき作品だ。

そんな重い答えはおいといて、純粋に映画としてみた場合も実にダイナミックなアクション満載だ。
ドラゴンの飛行シーンは非常に良くできており、昔、セガのゲームで「パンツァー・ドラグーン」というドラゴンに乗る人間を主人公にした非常に良くできたゲームをプレイしたときのことを思い出した。
音楽も素晴らしく、鑑賞環境が5.1chだったのでクライマックスに至るまでの盛り上がり間は半端無い。これぞ、映画という盛り上がり。
 ラスボスがUSA版ゴジラが空飛ぶんだぞみたいなのも面白い。

 さらに特筆すべきは、誰もがハッピーな結末を得るわけではないというところ。
アナキン・スカイウォーカーのごとく、主人公のヒックもある部分を失ってしまうわけだが、これがディズニーとの違いか。
ディズニーならこんなことせずに、みんな仲良く、で終わってしまったことだろう(なんといっても魔法の国だからね。。)
 ここらあたりは「X-MEN」サーガなどでも謳われてきたことだけど、マイノリティであることや差別の撤廃には痛みを伴うことを教えてくれる、きれいごとではない、アニメを超越したメッセージを痛烈に投げてくる。

 間違いなく、鑑賞した作品の中ではトップクラスに入る傑作だった。

マロピ