「奇跡はひとつではなかった・・・」セントアンナの奇跡 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
奇跡はひとつではなかった・・・
160分という長さと虐殺シーンもある戦争映画だというイメージからかけ離れていた。ミステリー的な要素もあるおもしろさと観終わってしみじみとした気分になれる映画だった。スパイク・リー作品らしい、黒人であることにこだわった演出も垣間見えるが、それよりも「戦場のピアニスト」でも感じられた、その国民はみな悪者で、他の国民はみな被害者みたいな画一的な描き方ではなく、その国民にもいい人はいたし、他の国民の中にも協力者はいたのだという実際の様子に近かっただろう描き方がよかった。黒人兵のことはよく知らなかったので、今さらながらアメリカでの根深い差別を感じたし、イタリアでの解放感も意外で、実話をもとにしているとのことだが、本当にイタリアでは差別意識がないのかと不思議に感じた。加害者の名前をちゃんと記憶していなかったので、あの4人の黒人兵のうち誰が加害者なのかわからなかったし、途中でコーヒーカップを落とした人が誰なのか、持っていた拳銃は何なのか、最後まで興味は尽きなかった。久々にいい映画に出会えたなぁと実感した2時間40分だった。
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