湖のほとりでのレビュー・感想・評価
全5件を表示
イタリアの豪華俳優が数多く出演し、イタリアのアカデミー賞といわれる...
イタリアの豪華俳優が数多く出演し、イタリアのアカデミー賞といわれる「ダヴィット・デイ・ドナテッロ賞」で史上最多の主要10部門を受賞した感動作とのこと。 個人的には複雑な人間関係がフォローできなかったせいか、感動作とまでは思えなかった。結構抑制の効いた派手な演出もなく淡々とした映画であったが、そこがまたいいのかもしれない。
小さな田舎の人間ドラマ
もっとサスペンス的な物を期待していましたが、以外と犯人がすんなり分かっちゃうとこは残念。でも、恐々としたサスペンスではなく、静かな、人間の誰にでもあるドラマの絡み方が、風景にも合っていて良かったです。サスペンスというよりは、ドラマ、でした。
ミステリーとしても、ヒューマンドラマとしても中途半端な作品でした。
イタリアでアカデミー賞に匹敵する賞を独占した作品にしては、テーマや謎解きが中途半端で退屈しました。 つかみはいいのです。美しい湖の畔で、半裸の女性の死体が横たわっている、しかも争った形跡もなく、むしろ犯人は遺体をいたわるかのように、殺した後の遺体の体型を整えていたというミステリアスな情景から始まります。 しかし、この事件を担当している刑事サンツィオの直感で捜査が進んでいく展開には、チョット疑問。まず事件を見つけるのも、たまたま少女が行方不明になったという依頼を受けて探しているうちに、事件と遭遇するというもの。サンツィオがこの湖に何かが起きているはずだと訪ねていくと、思った通りアンナの死体が見つかるというご都合主義なんです。そして思いこみから、殺されたアンナの彼氏を誤認逮捕してしまうし、彼氏を捕まえといておきながら、疑いが残っている人物のところへたまたま立ち寄ったら、自分が真犯人ですと突如言い出すという信じがたい展開になるのです。誰かを庇っているのだろうと思っていたら、本当に真犯人で、事件は解決しエンディングに。ミステリーとして、連続殺人もない余りの単調な展開に閉口しました。 ミステリーというよりも、『めがね』『カモメ食堂』のような緩さや癒しを狙っている作品なのかもしれません。冒頭の少女が ひとりで下校しているショットは、とても穏やかで、その直後に殺人事件が発覚するミステリー作品には思えない出だしだったのです。 そんな癒し系の背景に重ねて、サンツィオが捜査を進めるなかで、殺されたアンナも含めて村人のそれぞれに人に言えない秘密があったことが分かってきます。この作品は、一見ミステリーを装っていますが、誰もが皆“一番身近な人にも言えない悩み”を抱えて生きている住民たちの人間関係や家族のあり方や、それ故の葛藤を描いた作品だったのです。 障害を持つ子供に素直な愛情表現ができない親。子供のことは全て理解しているという偏った愛。間違った両親の元に生まれてきたと感じる思春期の子供…。サンツィオもまた、若年性認知症に冒され、家族のことを忘れていく妻の姿を、娘に見せられないという人知れない問題を抱えていました。一見何事もないかのように過ぎ行く日々の中で。 。殺されたアンナが貫き通した“深い愛と強い信念”。そして死に急ごうとしたアンナの抱える秘密が分かる時、もう少しアンナの心情に肉薄して欲しかったと感じられました。まぁ、そんなアンナが唯一の心の支えとしていた彼氏を、依願殺人の容疑で、画面から遠ざけてしまったのが、致命的なミスだと思います。 いずれにしても、ミステリーとしても、ヒューマンドラマとしても中途半端な作品でした。唯一の収穫は、サンツィオの偏屈さ。周りの人から、よく結婚できましたねと感心されるほどの筋金入り。あまりの偏屈さは、逆にユーモラスに感じるところがしばしばでした。 気むずかしい顔をしながらも、どこか憎めないキャラのサンツィオが良かったと思います。 音楽も、ちょっとシーンとは関係の少ない独創的なものだったということも、本作で印象に残ったポイントです。
他人だけじゃない。自分のことも、わからない
イタリアのアカデミー賞で 作品賞、監督賞など10部門で受賞と聞き、 楽しみにしていたのですが、皆さんからの クチコミだと、あまり評価が芳しくありませんでした。 今回、名画座にて2本立てで 上映していましたので、ハズレでも 我慢できるに違いない、と勝手に決めつけ行ってきました(苦笑) ☆彡 ☆彡 色々と複雑に、 人物や伝えたいことを入れすぎたのかな・・・ でも、これが芸術だと力説する人もいるんだろうな・・・ 親子の絆(関係)に ミステリー要素を絡めた作品。 ザックリ表すると、こんなイメージでしょうか。 だとするなら、 ここまで小難しく 盛り込まなくても よかった気がするのですが、 複数の家族を登場させることで 様々な家族関係を表現したかったのかもしれません。 ◇ ◇ 〈 いつまでも子ども扱いする 〉 今作の登場人物、 共通しているのは、 全員なにかしらの 隠し事をもっていること。 それがゆえ 余計に関係が複雑になり、 心情描写も深みを帯びてくるわけですが、 仮に、これが芸術だという観点で前向きに見ると、 この複雑さを、一作品として成立させた演出力には大拍手です。 でも、 そういう作品って 一歩間違うと「私たち凄いでしょ」って 自慢をしているように取れてしまって嫌らしくなるんですよね。 その辺りも、 皆さんの評価の低さにつながったのかもしれません。 ☆彡 ☆彡 希望を感じさせられるラスト。 ただ、どの家族も幸せになれたのかは疑問です。 “本当のことは誰にもわからない” by 浜崎あゆみ「appears」 この作品の締めくくりも、 同曲の締めくくりと一緒なのでしょう。
上質の心理サスペンス
湖のほとりで発見された あまりに美しいアンナの遺体。 ちょうどそのころ、一人の少女が姿を消し、 この「猟奇的殺人事件」「幼女誘拐事件」・・ を思わせる事件の捜査に訪れたのが サンツィオ警部です。 刑事サスペンスにしては、 派手なカーチェイスはもちろん、 頭脳派刑事の名推理や、 最先端の科学捜査も、 密室トリックも、アリバイ崩しも、 なにもかもありません ただ、刑事は「捜査協力」の大義名分のもと、 普通だったら踏み込めない 関係者のプライベートにまで立ち入れるのですが、 その過程で、 少しずつ関係者の人間(特に親子)関係や 悩みや葛藤、心の傷などが次第に明らかになってきます。 被害者のアンナとその父親、 ボーイフレンドのロベルトとその母親、 幼女誘拐を疑われた知的障害のマルコと その父親。 アンナがベビーシッターをしていた 先天的脳症のアンジェロとその両親。 そして警部自身の若年性認知症の妻と 娘のフランチェスカ。 何組もの家族の関係が、捜査をすすめるうちに 少しずつ浮き彫りになってきます。 やがて、アンナに関する重大な事実が明らかになり、 いままで「思い込んで」いた 数々の事柄が、すべて崩れていくのです。 犯人にたどり着く過程であぶりだされる人間の心の闇。 それは、「意外な人が犯人でビックリ!!」 なんていう一般的な推理サスペンスよりも ずっとスリリングでした。
全5件を表示