ロシュフォールの恋人たちのレビュー・感想・評価
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60年代ファッション×ポップミュージックのロマンティック・コメディ
とにかく衣装がかわいい! つばの広い帽子とミニ丈ワンピースがカラフルでしかも色違いの双子コーデ! 主役2人が登場するたびに画面が華やかになる。常に前向きで自立心を持った双子達の姿を見ていると、明るい気分になってくる。
ビビッドカラーとパステルカラーを基調とした衣装と同様、音楽もポップなメロディーが全体を通して流れる。"Nous sommes deux soeurs jumelles~"で始まるテーマ曲は一度聴けば耳から離れなくなる。
耳に残るメロディーと歌詞はフランス語学習の点からリスニングの練習に最適。繰り返し聴いて口ずさめばフランス語の音節や単語に耳が慣れてくるはず。
ファッション好きな方、明るい気分になりたい方、フランス語を勉強している方におすすめの作品。
「シェルブールの雨傘」は実験的な映画!
「シェルブールの雨傘」で出会った脚本・監督のジャック・ドゥミと、音楽のミシェル・ルグラン、女優カトリーヌ・ドヌーブが「ロシュフォールの恋人たち」では、本格的なミュージカル映画に挑んでいる。そのためには、アメリカの資本を入れ、ダンスの抜群な「パリのアメリカ人」「雨に唄えば」のジーン・ケリー、「ウエストサイド・ストーリー」のジョージ・チャキリスを呼んでくる必要があった。彼らもセリフはフランス語で通していたが、カトリーヌ・ドヌーブと実のお姉さん、フランソワーズ・ドルレアックのダンスのレッスンもさぞかし大変であっただろうと想像がつく。
それでは、フランスで作ったこの映画は、ハリウッドの従来からのミュージカル映画とどう違うのだろう。一つは、ロシュフォールという大西洋岸の港町にロケして作られたこと。例えば「パリのアメリカ人」は、そのほとんどがセットで撮影されている。衣装も、撮影に使われたコルベール広場も極めてフランスらしいパステルカラーに満ちている。塗装を塗り替えた街の協力もあったようだ。行進する水兵たちの格好が記憶に残る、軍服にブルーのシャツ、黒くて細いネクタイ、なんという色の組み合わせか。確かにストーリーは他愛もない。ドルレアックとドヌーブの双子の姉妹、それからダニエル・ダリューの扮するシングル・マザーと、それぞれのお相手から成る3組のカップルが、お相手とのすれ違いを繰り返すだけ。
何と言っても、ミシェル・ルグランの音楽が素晴らしい。彼は、この映画で、68年アカデミー賞のミュージカル映画音楽賞にノミネートされている。この映画の中でも、クラシックのモーツァルト、ストラヴィンスキー、ジャズのルイ・アームストロング、カウント・ベイシー、ライオネル・ハンプトンの名前が出て、その後、ミシェル・ルグランは、と言わせている。そうなのだ。彼は、映画の世界で、クラシックとジャズの間の架け橋となった作曲家だ。しかも、メロディーを生み出す才能に恵まれていて、「思い出の夏」など、3回もアカデミー賞の作曲賞などに輝いている。この映画では、ダニエル・ダリューを除いて、歌唱はプロの歌手たちの吹き替えだったことは、ちょっと残念。
フランス映画には珍しい多幸感に満ちた映画だったが、この映画では一番輝いていたフランソワーズ・ドルレアックが早く亡くなってしまったことを知り、心から驚かされた。
ロシュフォールの恋人たち
多幸感と喪失感──色彩と音楽が溢れる58年前の傑作
1967年公開。58年前の映画だ。前作「シェルブールの雨傘」(1964)に続けてジャック・ドゥミ監督&ミシェル・ルグラン音楽&カトリーヌ・ドヌーブ主演の組み合わせで、今見てもみずみずしく、さまざまな映画的な表現の工夫も斬新で、ミュージカルとしての完成度も高い。現代の新作ミュージカルと同様、いやそれ以上に楽しく見ることができる映画だった。
下調べしなければ、それで終わりだったのかもしれない。でも、事前に調べたことで、この時、この映画に閉じ込められた「永遠の若さ」「失われた可能性」を知ったことで、多幸感に溢れる本作を、物語と映像がポップに明るく展開するほどに、喪失感と切なさも増してくる鑑賞体験になった。
というのは、ドヌーブと並んでダブル主演を務めた彼女の姉フランソワーズ・ドルレアックがこの映画の公開直後に自動車事故で車内に閉じ込められ炎上死するという痛ましい事件があったことを知ったからである。
元々、映画界に入ったのは姉のドルレアックが先。ケイリー・グラント&オードリヘップバーン主演の「シャレード」に出演するなどフランス映画界のホープであった姉の妹としてデビューしたのがドヌーブだったようだ。そしてドヌーブは前作「シェルブール」で世界的スターとなる。その二人の唯一の共演作が本作なのだ。
本作では二人が双子の姉妹という設定で、演技、歌、踊りで、見事なシンクロニシティを見せてくれる。元々、本作はオードリ・ヘップバーン&ブリジット・バルドーで企画されたそうだ。それも見てみたかったが、本作のようなシンクロニシティは実現しなかっただろう(二人は顔も非常に似ている。〝運命の容姿を持った女性=ドヌーブ〟を探す画家がドルレアックと出会って気が付かないというのはやや無理があると感じた。小さなことだけれど)。そして、その見事なスター姉妹の共演は本作が最初で最後となってしまった。
姉の死去がその後のドヌーブにどんな影響を与えたのか、本当のところはわからない。だけど、トップ女優として開花し始めた姉の後を追って、スクリーンデビューし、前作の成功でヒットが確実視される大作の本作でダブル主演を務めこれから二人で成功の階段を駆け上っていく時であった。それを考えると、その後のドヌーブは自分だけでなく、姉の人生も生きるという宿命を背負ったように思える。
そして実際、80歳を超える現在もフランスの国民的女優として活躍を続けている(未見なのだが、主演を務めた是枝裕和監督「真実」(2019)のあらすじを読むと、登場するライバル女優は姉ドルレアックのように思えてならない)。
ジェームズ・ディーンや尾崎豊でもそうだけれど、若きスターの夭折はそれだけで「永遠の若さと未完の可能性」を感じさせるままイメージが固定されてしまう。どうしても過剰かもしれない思い入れをして、本作を見ることになった。
本作のストーリーは、軽くポップなものだ。主人公の姉妹含めて、多数の登場人物たちが「理想の恋人」を追い求めている。出会いも別れも、その理由は何というかとっても軽い。
恋人が変な名前だから別れてしまった母親。理想の女性の肖像画を描き、現実にその容姿の女性を追い求める画家の卵……。それぞれの動機があまりに直感的で情緒的な小さな理由だ。
でも、それでいいのだ。大体、私たちが人を好きになったり、嫌いになったりするのは、どうってことのない情緒的で直感的な理由だ。多くの物語では、必然性がきちんと描かれるけれど、それが明確なのは物語の中だけのことかもしれない。
そして、本作にはルグランの音楽がある。これが圧倒的な説得力のある強い情感を生み出している。それが現実にもありそうな小さな物語の中にあるドラマを最大限に引き出しているし、それによって、私たちの陳腐な恋愛もドラマチックなものだと感じさせてくれるのだと思う。
僕の大好きな映画「ラ・ラ・ランド」の監督デミアン・チャゼルは「シェルブールの雨傘」が自分を成長させてくれたと語り、「ラ・ラ・ランド」でもオマージュしているが、直接的な関連は、本作の方がより多く見出せると感じた。
例えば、「ラ・ラ・ランド」の冒頭の高速道路での群舞シーン。この場面だけで、もうこの映画を観た価値があるほど圧倒的で、一気に多幸感に包まれ、物語への期待値も高まるのだけれど、この場面は本作のオマージュであることは明らかだ。
本作は、フランス西部の田舎街ロシュフォール(現在でも人口2万人程度のようだ)に、劇団が祭りのショーを披露にやってくる。そして、彼らが去る場面で終わるたった数日の物語だ。この劇団登場の場面で、川を渡る吊り橋のような桟橋上で本作のテーマ曲で劇団員たちが歌い踊る。この大仕掛けの場面を、さらに一気にスケールアップしようとしたのが「ラ・ラ・ランド」の冒頭ではないだろうか。特徴的な衣装使いも、主演ではない人物たちに、これから起こるであろうワクワクするドラマを強く予感させる演出も、この映画のオマージュとしてシナリオに盛り込まれたのだろう。
そして、何よりこの映画の主役はミシェル・ルグランの音楽である。前作同様、正確な曲名がわからないのだけれど、テーマ曲が、さまざまな変奏、さまざまな歌詞を載せて何度も繰り返される。
そして、多幸感のあるメロディと、切ないメロディとが交互に登場することで、観ているこちらの気持ちも振り回されてしまう。圧倒的な楽曲の力があるからこその圧倒的な映画体験を味合わせてくれる比類なき傑作であった。
アメリカとフランスのスター共演の、贅沢なミュージカル
2025年にミシェルルグランのドキュメンタリーが公開。それに合わせて、代表作も再公開されたので、観賞してきました。
ジョージ・チャキリス演ずる旅するパフォーマーの一団が、ロシュフォールの町にやってきます。そこで流れるのが「キャラバンの到着」。ワクワク感をいやが上にも盛り上げてくれます。
踊りも素敵です。
まもなく始まる祭りをきっかけに、カトリーヌ・ドヌーヴ姉妹やその母が、前に進んでいくストーリーです。
接点がなさそうな登場人物たちが、ふとしたきっかけで繋がっていく様が、鮮やかです。
1つだけ、「バラバラ殺人」のエピソードは、全体の話の流れとどう繋がっているのかがわからずじまいでしたが。
ジョージ・チャキリスだけでなく、ジーン・ケリーも出てるのは、贅沢過ぎます。
二人の踊りは、全くテイストが異なります。「躍動感溢れるダイナミックな踊り」と、「バレエのような優雅な踊り」。
「旅芸人」と「人気作曲家」という立場の違いをこうした形て表現しているのかな、と感心しました。
最後に、ヒッチハイクで「彼」がトラックに乗り込んで、ハッピーエンドというのも、よかったな。
サントラのCDを、早速注文しました。
1967年の作品。
フランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」が1968年で、ミッシェル・ポルナレフの「哀しみの終わるとき」が1972年なので、フレンチポップスが流行る直前の公開なんですね。
最近は洋楽といっても英語圏のものがほとんどなので、当時の状況を含め、懐かしく思いました。
めっちゃ美男美女多い この映像に出てる人達、今やみんなお爺さんお婆...
変な名前
歌って踊って熱く恋して!
理想の恋人を追い求める男女を描いたフランスのミュージカル映画
「ラ・ラ・ランド」の元祖だけあって、とにかく歌って踊りまくる明るい映画だった ストーリーも音楽にのせてそれぞれのキャラが胸の内を語るという群像劇スタイルになっていてずっとノリノリで楽しくみれた
また、ファッションも洗練されており、キャラごとに色分けされているのでオシャレなだけでなくこの人誰だっけがなくなって見やすかった
90%ぐらいミュージカル状態だし、仕事しろよっていいたくなるぐらいみんな自由に生きているが、憂鬱さの全くないバカっぽいノリで延々フィーバーしてるので、自然と見てるこっちも明るなってくるパワーがあってよかった
殺人犯の展開いる?みたいな疑問は残るがそういう細かいことはいいんだ!って感じでなんとなく納得してしまう映画
全編ハッピーな雰囲気だけど、ストーリー構成がしっかりしてる!
シェルブールの雨傘はフランス純度100%って感じでしっとりしていて愛や情緒がずっしりだったけど、
恋人たちはアメリカのブロードウェイぽい要素も入り混じっていてハッピーで軽やか&華やかなイメージ!
旅をしていたり、旅立とうとしている人々が主な登場人物であるということも大きな特徴だったと思う。
アメリカ要素でいえば、ジーンケリーが出てきてタップダンスまで始めたの笑った😂
ストーリーに関して、最初一人一人のキャラクターをとりだしてソロで奏でたりアンサンブルしたあと、最後は全部のパートが重なって交差するみたいな感じで進んでいて、構成が綺麗だった!一人一人のキャラも立っていてみんな好き!特にポエマーな彼と旅人の愉快な2人組が良い味を出していた。
一人一人のテーマソングが重なっていくラスト秀逸!何度でも聴ける!テーマソングひとつひとつをとっても、どれもキャッチーで個性が出ていて面白い。
ララランドは音楽とダンスに関してはロシュフォールの恋人たちをだいぶ踏襲してるよなぁ〜と思った。とくに、『ミアとセバスチャンのテーマ』は冒頭のフレーズがほぼほぼ同じだよね。
夢のあるキュートな映画
誰にでもおすすめできそうな、バランスのとれた良い映画。
街のあちこちで繰り広げられる歌とダンスがまず楽しい。ダンスそのものがまず見事だけれど、ついでに街の情景や暮らす人々の洒落たセンスもたっぷり楽しめる。
ストーリーは、基本的には、主人公が白馬に乗った王子様が現れるのを待つ、みたいな内容。でも、これだけで終わらず、姉や母親とそれに関係した人々それぞれが人生を模索する姿も描かれ、人生の深みや哀愁といったエッセンスが加わり、作品が少し深いものになっているのがいい。
若い頃の夢や理想を思い出させてくれて胸がキュンとなるような、そして大人になってもまだ夢を追っていてもいいじゃないかと思わせてくれるような、夢のある、キュートな映画だと思う。
『ラ・ラ・ランド』は完全にこの映画をリスペクトしている。
踊りや歌が今ひとつが生かされていない
愛すべきフランスシネミュージカル
古典と思って観たが、とても良かった。
有名なあの曲この曲も、キャストもストーリーも映像も、全てがおしゃれでノリがいい。
主役の双子は本当の姉妹だと知って驚いた。当時24歳と25歳。ミニのワンピースがとてもよく似合う若いお嬢さんなのだが、立ち居振る舞いとか顔つきとか、二人とも10代からデビューしているからか、貫禄があった!
ラスト近くで二人で歌う、「人生と花、微笑と涙を歌おう」のフレーズが心に残る、素敵な作品。
ミュージカルの良さを実感
ミュージカル映画嫌いの人にも見てほしい
ミュージカル映画の金字塔。
ミュージカル映画なんて好きじゃないんで、普段は見ないんですよ。
だって、急に踊ったり歌ったりってあり得ないし、普通に考えて変じゃないですか?
でもこの映画はそういった考え方を変えてくれました。
色、ファッション、音楽、曲、ダンス、さまざまな表現の要素が駆使されていて、しかもそれらの全てが高度。
CMでよく使われている曲も多く、「あ、この映画の曲だったのか」という場面多々あり。
それだけ、曲の完成度も高いってことですよね。
舞台となった街、フランスのロシュフォールの住民は、撮影に際して自分の住んでるアパルトマンの窓枠をカラフルにするのに全面的に協力したんだとか。今ではすっかり白っぽい色に戻っていて残念ですが・・・。この映画にちなんでカラフルな窓枠にしたら観光客も多く訪れると思うのになぁ、と独り言。
ルグラン・サウンドを堪能
フランス音楽界の巨星ミシェル・ルグランの没後1年/生誕88年特別企画にてデジタルリマスター版を劇場鑑賞。
言わずと知れた不朽の名作であれこれ語るまでもない。テレビでは何度か見ていましたが劇場の第スクリーンではミュージカルの迫力が違いました。華麗なるルグラン・サウンドを存分に堪能しました。
2020-93
観ているだけで幸せな気分に
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