「美しい悲劇」シェルブールの雨傘 みきねこさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい悲劇
1カット1カット絵になる素晴らしく美しい映画でした。
セリフが歌なので、最初は少々戸惑いましたがカトリーヌの可憐で美しく鳥の鳴き声のような声にノックアウトされます。
仕草にも始終ドキドキさせられっぱなし、今更だけど勉強になりました。笑
とにかく鮮やかな服、部屋、彼女の髪や唇や頬の色から街並み、夜のシーンなんて暗いキャンバスとは対照的に2人が歩く姿が美しいし、お店の内装と傘が入れ替わり立ち替わり兎に角、色彩豊かで各シーンとても眼福です。
内容はネタバレになりますが、シーンの色彩とは異なり時代で引き裂かれる男女を描いており、子供作って兵役に行くなよってツッコミどころ満載でしたが、彼的には子供が彼女との絆であり約束だったわけで、帰還後も女々しくも未練たらたらな姿は可哀想だけど直ぐ手近な女性を口説き寂しいと言い愛する姿に…ですね。
一方、刻々と体の変化を感じつつ今後を案じるお金にも困っていたカトリーヌと母が余裕のあるプロポーズを断りきれず結婚という道を選ぶ。仕方ないでしょうね。子供を育ててくれると言う寛大な彼だし、作るだけ作って戻ってきたらガソスタ店長なんて彼と過ごしても母の理解は得られないだろうし、お金のある都会暮らしの方が母娘、そしてその子供にとっても別の幸せの形だったのでは?とも思う。
これもカトリーヌの美しさの成せる技でしょうね。大抵、子供がいる女性を選ぶ男性は滅多にいないと思うし。
その後に偶然の再会を果たすが、彼はそっけない。なんとなく腹が立ちました。子供産ませといて、その態度かよと…そりゃ捨てられただろうけど、第一声は産んでくれて有り難うだろうと思ってしまった。
兵役とは言え便りの頻度が低いし女1人で妊娠って若ければ若いだけ不安な訳で、女性目線としては納得いかなかったなー。サポート出来ないなら子供作るんじゃない!と腹だたしくも若い男女の愛なんて、高確率で儚い物語になる。そんなことを頷きながら複雑な気持ちでエンドロール観終えました。
だけど絵が美しいので再鑑賞あるかもしれません。