「ただの少年の成長物語と思ったら大間違い」いけちゃんとぼく だいすけさんの映画レビュー(感想・評価)
ただの少年の成長物語と思ったら大間違い
簡単に言えば、主人公ヨシオの子供から大人への【成長物語】。
なんですけど、それだけでは無い。そんな作品です。
ヨシオといつも一緒にいる不思議ないきもの”いけちゃん”の
変幻自在な姿やヨシオとのやり取りが面白いですね。
最初から普通にヨシオと”いけちゃん”が一緒にいるので、
観ている方も普通にそれを受け入れて観れます。
僕は違和感のようなものは感じませんでした。
いじめられっ子にやられっ放しだったヨシオ。
でも、かなり芯は強い子だなと思いました。
それも”いけちゃん”の支えがあったからかも知れないですが。
ヨシオを見守る”いけちゃん”の眼差しは温かいです。
友達のようであり、
親のようであり、
恋人のようであり・・・
”いけちゃん”の声を担当している蒼井優さんの演技が素晴らしいです。
”いけちゃん”のヨシオに対する気持ちの変化に応じて声が変わっていくんですけど、
本当に上手かったですね。
CGで作られた”いけちゃん”の映像も背景が透けて見えたりして、なかなか凝ってました。
ホント、違和感なかったです。
後は、近所の牛乳屋のオヤジ役のモト冬樹さんの怪演も見所ですね(笑)
あの「手刀」は人間業じゃないと思います(謎)
前半から中盤にかけては、少年時代の懐かしさあり、笑いありという感じなんですが、
後半のクライマックス(野球対決)以降からは、ガラッと作品の趣が変わります。
”いけちゃん”のあまりにも切ない告白・・・。
ヨシオの前から消えていく”いけちゃん”の告白を、
少年のヨシオには、まだ理解出来なかったかもしれない。
ヨシオがそれを理解するのは数十年後なんでしょうね。
姿が薄くなっていく”いけちゃん”がヨシオに向かって言った
いや、「最後の恋人」に向けて言ったひとこと・・・。
泣けます。
や、最初は【絶対泣ける本第一位】なんて、大げさな。
なんて思いながら、斜めに構えて観てたんですけど、
まんまとやられました(苦笑)。
”いけちゃん”の見た目で「子供向け?」と思って敬遠する大人の人は多いと思うんですけど、
大人にこそ観てもらいたい作品です。