「母は強し。子も強し。」私の中のあなた ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
母は強し。子も強し。
べつに難病、というわけではないが…
自分の友人にも、こういう状況の家族がいる。
特徴的なのは母親が突出!していること^^;
今作で描かれる母親の在り方には、おそらく賛否あると
思うのだが、むろんそれは当人には聞こえてないだろう。
なにしろその子が第一!なのである(あたりまえだが…)
自分のことなど、他の家族のことなど、次の次である。
時に真っ直ぐすぎて怖いくらいだと思うことすらある。
が、私はそんな彼女を見ても否定できないのだ。
なにしろ自分がその立場にたっていないからである。
子の心、親知らず。親心、子知らず。とは言われるが、
どちらも正しい。想い合う気持ちがすれ違いを起こす。
私がいちばん泣けたのは、高まる周囲の雑音をよそに、
自身でアルバムを作り、それを広げ、家族の写真に
「ごめんね。」を繰り返す白血病の姉・ケイトの姿だった。
自分のせいで家族の幸福の大半を奪ってしまった、と
思いながらも笑みを絶やさない強さ。家族を想う気持ち。
素直で優しい妹のアナが、自分の母親を訴えるという
ややセンセーショナルな内容が先行しているが、これは
冒頭から観れば、どういうことなのかはすぐに判明する。
母親と娘の愛情がそれぞれに対峙している姿なのだ。
影の薄い?父親と兄が、黙って見守る姿がすごくいい。
出てくる男性陣は皆、おとなしいタイプ(男はこうだ^^;)で
それが女性陣の芯の強さと対照的でやけに癒される。
これだけたくさんの愛を受け、狭いながらも人生を生き、
たった一度の恋も経験できたケイトは、幸せだったろう。
無台詞シーンで流れる音楽の使い方が、この監督らしい。
そのシーンのみでも、伝わるものが多いような気がした。
(A・ボールドウィンが久々にいいヒトだったのが印象的^^;)