劇場公開日 2010年1月22日

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「映像は素晴らしいけれど、ストーリー性が単調で途中飽きてきました。」オーシャンズ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映像は素晴らしいけれど、ストーリー性が単調で途中飽きてきました。

2010年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 確かに映像は、凄いのですがBBCが製作した『アース』と比べて、ストーリー性がなく単調なドキュメンタリーとなってしまいました。展開はナレーションに頼って、次々映像を切り換えていく手法なのです。だから途中から飽きが来てしまって、ウトウトしてしまいました。
 本作といい、『皇帝ペンギン』などフランス系のドキュメンタリーは、ナレーターがおしゃべりで興ざめするのですね。
 ナレーター以外にも、冒頭や劇中で少年と老人を登場させ、ストーリーテーラーの役割を担わせていますが、中途半端でした。
 二人は、海洋博物館の中で「海って何だろう」という問題提起から語り合うことで、物語をスタートさせます。そしていろいろな海の生き物を紹介したのち、絶滅した種の紹介から、これらを滅ぼした人類の責任を問いかけます。
 こうした主題を、ストーリーテーラーに語らせるよりも、『アース』のように一匹の海の生き物に絞り込み、その日常を追いかけることで、テーマを浮かび上がらせたほうが何を伝えたいか印象に残ったはずです。

 本作を制作したフランス人の母国は反捕鯨国であり、魚より肉食のため、漁業には『乱獲』という冷かやな視線も感じます。「生態系の破壊」を強調する余りに、イルカ漁やクジラ漁の描写では、ちょっと日本を意識した撮り方をしているのが気になりました。
 それでもサメ漁のところでは、ヒレだけ切り取って、生きたまま海中にサメを投棄する映像がショッキングでした。丸太のようになった無残な姿に、さめざめと感じた次第です。
 それでも映像はスゴイです。海中なのに、とても鮮やかでクリアー。海の中で撮影していることを意識させない映像です。
 そして圧巻なのは、海の生き物たちの自然な表情。全く警戒しておらず、のびのびと普段の暮らしぶりを披露しているところ写し得たのは、さすがに無人撮影技術の賜物でしょう。

 印象に残ったのは、カニの大群の行進。まるでスターウォーズを彷彿するシーンでした。そうかにぃ~なんて言わないでね(^^ゞ
 あとイワシの大群が群れるところです。それはまるで巨大な生き物が自由に姿形を変えていくようで、面妖でした。そのイワシの大群を追って、マグロのような大型魚種やイルカがいるわよとピョンピョン乱舞するところも圧巻です。さらにめざとくイルカによって海面まで昇ってくるイワシの大群めがけて、海鳥が垂直落下して捕食するところは、まるで魚雷発射のようでした。宇宙戦艦ヤマトが攻撃を受けているかのように、海鳥が垂直に海面に飛び込み、イワシの群れに襲いかかるのです。
 そうこうしていると、とどめとしてクジラが登場します。数体のクジラが飛び回る姿は大迫力でしたね。

 またジョーズで人食い鮫として有名になったホオジロザメと人間が仲良く絡みながら泳いでいるラストにはびっくりしました。ジョーズ君は、人間が危害を与えようとしない限り、とてもフレンドリーなんです。

 ところで日本の近海からも佐渡島の人面魚のようなコブダイや松江沖のマントがオシャレなムラサキダコが紹介されていました。本当に世界中の海に潜って撮影されたってことですね。

 3/5まで子供500円キャンペーンをやっています。図鑑的な作品なので、お子さんの好奇心をくすぐるにはいい作品でしょう。品川のように水族館と映画館が同居しているようなところがいいでしょうね。

流山の小地蔵