「残念な海の描き方。」オーシャンズ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
残念な海の描き方。
長く上映しそうだからと先送りにしていたら^^;
ずいぶん観るのが遅くなってしまったネイチャー作品。
レビューを読むと、かなりの賛否が多いことに驚く。
だが確かに、そうだよな…と思える箇所も多い。
映像技術、魚たちの神秘(とくに深海の・珍種の)など
見せ場も多く、よく撮ったな~?と思わせる鮫との並泳
など、迫力の映像美はたくさんあった。
自然界の美しくも残酷な営みは特に目新しくはないが、
子供達に学ばせることにもなるし、それはいいと思う。
ただまぁ、不必要な映像というか…
監督の息子(まぁ可愛いですけど)や監督自身が何回も
登場するうえ、映像処理した鰭を切られた機械鮫を見せ、
後に解説を入れるということが果たして必要だったろうか。
自然保護を訴える手段としてはかなり偏った手法である。
厳しい自然界の食物連鎖、弱肉強食は海でも繰り返され、
食うか食われるかの戦いは生態系の計り知れぬ神秘だ。
それにひきかえ動物を殺し、魚介類を漁り、草を刈っては
それらを食べて暮らしている人間のなんと残酷極まりない。
確かにその通りである。過度な狩りは大いに慎むべきで
高額で取引される一部食材のために動物を獲りまくるなど
もってのほかである。生きるための最低限に留めるべきだ。
更にいうなら、昨今の地球温暖化に起因する生態系の
絶滅への不安に人間はもっと真剣に取り組むべきである。
確かにそれらはどれも訴えとして成立するものであるが、
それを後半に持ってきたことで、今作のカラーが変わった。
深海生物の不思議に目を見張っていた自分に驚きが走る。
監督が描きたい「海」はこれだったか。
良い悪いの評価よりも、私には何よりそれが残念だった。
(関係ないけど、あの波しぶきは「東映」だった。ザバーン!)