劇場公開日 2009年4月18日

  • 予告編を見る

「総合エンターテイメント映画として優れた作品」スラムドッグ$ミリオネア yururi74さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5総合エンターテイメント映画として優れた作品

2010年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

楽しい

インドが抱える社会問題を浮き彫りにした重い内容を含んでいるが、クイズショウという特殊な設定のもとにテンポのよい構成と音楽で、エンターテイメントに昇華させている点が見事だと思った。純愛物語としても見ることが出来るし、インド映画のお約束であるミュージカル要素も盛り込んだ、まさに総合エンターテイメント。

過去と現在が交錯する構成はよくあるけれど、ジャマールの少年時代、クイズショウの本番、不正を疑われ警察に取調べを受け過去を告白するジャマール…と3D構成になっていることで、わずらわしい説明なしに物語を追うだけで彼の半生を自然に理解できる。
ライフラインの使い方も実に巧み。

インドの混沌とした社会背景と疾走感のある打ち込み系ダンスミュージックの融合も斬新。様々な悪意から逃げながら生き延びていく疾走感に溢れたジャマールの人生を音楽が何よりも伝えてくれている。

日本映画であればラストで負けるオチもありだと思うのだが、形としての"勝ち"にこだわったラストも清々しく後味が良かった。

yururi74