「爽快感溢れるスラム街」スラムドッグ$ミリオネア kikko-manさんの映画レビュー(感想・評価)
爽快感溢れるスラム街
この映画はすごく構成が優れていた。
はじめは、タイトルを見るや私は「スラム出身の人がミリオネアになるハッピーストーリーなんだろうな」と思っていたのですが、いったん封が切られると序盤から主人公がひどく暴力を受けているシーンから始まった。これは少しびっくりだった。
主人公ジャマールは最終的にミリオネアのクイズに全問正解し億万長者になるのですが、すべてのクイズの答えがジャマールのスラム街での実体験に関係していたのです。
それは…ジャマールにとって思い出したくない過去ばかり…
答えを考えてるときの彼の表情は苦痛に満ちていました。友人が目を潰されたり、お金の道具に使われたり等。
しかし彼はある人物のためにその苦痛に耐えながら、クイズに答えていきました。
幼少期、宗教対立によりジャマールは母親を亡くし、行き場をなくしたジャマールと兄サリーム。母親を亡くした日の夜中、おんぼろ小屋に駆け込んだ兄弟は一人の少女に出会った。恐らくこのジャマールたちと同じように親を亡くしたであろうラティカという女の子だった。その後ラティカと兄弟は盗みや物乞いで何とか生計を立てていたが、突如三人の前に天使のような人物が現れる。
ジャマール兄弟とラティカ、三人と同じ境遇にあるたくさんの子供たちに毎日食事や寝どころを与えていました。そこでは今までの生活とは打って変わって三人とも楽しそうに暮らしていました。しかし、そんな生活もつかの間悲劇はあっという間に訪れます。子供たちはそこで何やら宗教の歌を覚え歌えるように日々訓練させられていました。すべては大人の欲望とお金のために…
ある晩兄サリームは驚愕の事実を知ってしまう。いつものように歌のテストという名目で子供が大人たちの前で歌うと「よくできた!」とほめられるやいなや、催眠薬で眠らされ、目玉をスプーンでぶっ潰されます。なぜなら、盲目のストリートシンガーは効率よく金を稼げるからです。そんなシーンがいっぱい出てきます。この悲惨な状況を目の当たりにしたサリームは次の順番の弟ジャマールとラティカと一緒に逃げ出します。三人が貨物列車に飛び乗り寸法だったがラティカだけが乗り遅れます。
その後のお話はすべてこの三人を中心に進んでいき、ジャマールのラティカに対する純粋すぎるほどの愛、兄サリームの苦悩といったテーマを中心に描かれています。続きは劇場でどうぞ。