「見といて良かった!」スラムドッグ$ミリオネア 廣瀬さんの映画レビュー(感想・評価)
見といて良かった!
映画、楽しかったです ♪
あっでもこの感想 ↑ は月並みね。
詳しい内容(ストーリーなんか)は他の人にお任せ。
私は私の言葉で書きましょう。
この映画を見て思い出したのは NHK スペシャル 沸騰都市 でした。
都市や人が持つ熱、欲望、マネー
その坩堝。
混沌とした中にひときわ放たれる人々の無垢な願望。
沸騰都市ではインドの都市を取り上げていませんでしたが
スクリーンに映される人々の生き方は
ダッカとかぶるものが有りました。
主人公ジャミール青年の幼い頃からの記憶と
現在:クイズショウに出演している今
が平行して繰り広げられます。
その
“時の流れ”
の中に都市や人々の変貌が映し出されています。
と同時に話しの核になるのは
ジャミール青年が
“変わらない事”
なのです。
もう、ミリオネアもクイズショウも賞金もどうでも良い!!!
って途中から思いました。
クイズに正解する事に
質的な意味が無いのです。
普通この手の映画でクイズが正解するかどうかって
“映画興行的に”
はらはらどきどきの
“売り”
のシーンだと思いますが、
それを排しています。
ここはいかにもイギリス的です。
(脚本のサイモン・ビューフォイ氏はフルモンティを手がけています。)
解答に正解するシーンの主人公の顔に注目して下さい。
それは決して嬉しさや誇りに溢れた顔ではありませんから。
そして見ている私も素直に喜ぶ心境ではなく
むしろ最後の
“その瞬間”
が来るのをひたすらに待ち続けます。
終盤ではクイズの正解や警察の取り調べとかもうどうでも良くなっていて
心の中では主人公と一緒に
『ラティカ!!』
って彼女の名前を叫んでいましたもん!
さてこの作品のテーマは後半で彼の兄が彼女に向かって言う言葉だと思います。
(詳しく書くとネタバレになるのでやめますね)
『彼(弟)は(彼女を)絶対に諦めない。』
兄がこのセリフを言う事でラストにつながっていると感じました。
兄は
『(人生を)諦めてしまっていた。』
そして弟は
『(彼女=人生を)最後まで諦め無かった。』
その主人公の一途さ、ですね。
この作品は是非
“好きな人と”
見て下さい。
恋人だとか、家族だとか。その枠組みはどうでも良いです。
この映画を
“好きな人と”
共有してみて下さい。
ハリウッド的なスリルやサスペンス・アクションは一切有りません。
それでも
“今この作品を見て良かった。”
と思える映画だと思います。
最後にどうしてこの映画がこうも絶賛されているか。
それは見た人を
“この映画を支持したい”
と突き動かす力を持っているからだと思います。
アメリカの商業的な金儲けを目的にした大規模産業としての映画ではなく、
純粋に
“映画”
だから。
何よりも人間である以上信じていたいと思う
“愛”
について鮮やかに描いていると思います。
今の世の中お金が大事ですから。
綺麗事なんか言っちゃいられません。
お金の価値も汚さも分かっている人間だからこそ
『この映画にお金を払いたい。
お金が持っている価値を、この映画に投資する事で高めたい。』
そんな風に大人のロマン♪
かき立ててくれると思います。