「残酷過ぎる現実を越える純愛に生きる希望をもらえる映画」スラムドッグ$ミリオネア もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
残酷過ぎる現実を越える純愛に生きる希望をもらえる映画
ずっと見たくてないなかなか見れなく、飛行機でたまたまやってて初めてみました。
今、自分に起きてるつらいことなんて些細な問題で、どんなにキツくても諦めないことの大切さと、人を本気で愛することの美しさをシンプルで衝撃的なストーリーだからこそ深く染みました。
スラムで育った一人の青年がミリオネアに出場し、見事に全問正解するサクセスストーリーですが、1000万ルピーを手にした時点で、番組の司会が詐欺罪で警察に突き出してしまう。
無学のシャリーフが全問正解まであと1問まで辿り着くのは確かに奇跡。警察も詐欺と信じて疑わず、そのミリオネアでの回答一問一問を見直しながら、なぜ解けたかを検証していくのですが、そこにはインドのスラムで育った壮絶で劣悪で、非道な経験、その中で出会った唯一の肉親である兄、幼馴染で恋心をいだくラフィアの3人で道を切り開き、成長していく。その過程が問題の一問一問にはまって、無学の青年が問題を解いていくというものでした。
ただ、このインドのスラムという環境…想像を絶する環境で、途中なんど目をそらせたことか…。ただ、これ、たぶん現実なんだよな…と改めて思うにつれて、心が痛くなる。
そして、その想像を絶する現実の中で、兄とラフィアは自ら道を切り開くことを諦め、現実的に生きることを選択する。シャリーフはラフィアと引き離されては探し出し、自らの運命を開いて行こうとする。
途中途中で、シャリーフがラフィアを見つけては、ラフィアは現実から抜け出せず、兄はマフィアの部下として弟とラフィアを引き離し続ける姿や、3人がスラムを必死で生き抜くすがたに、やはり生まれ持った運命は変えることができないという諦めを嫌という程感じらせられるし、ある意味で本当に救いのないほど現実に生きる事がつらいことであると思い知らされました。
誰もが、今の現実に甘んじるしかない環境の中、決して諦めずにミリオネアの最後の問題に到達した弟の姿に心を打たれた兄は、裏切り続けてきたシャリーフとラフィアに自らの命と引き換えに最後の手助けをし、シャリーフは最後の問題…全く回答がわからない中、4択を正解させ、ラフィアと運命の、そして、もう引き離されることのない再開を果たす。
最後のシーンでシャリーフがラフィアに「運命だよ」と言って、キスをするシーン…めちゃくちゃ泣いたし、ただのサクセスストーリーではなく、どんなに劣悪な環境に置かれてても、諦めずにひたすら行き続ければ運命を開くことができる…その劣悪な環境というのが、想像を絶する環境なだけに、その運命という言葉がより説得力を持ったラストシーンでした。