「これはカイジではない。」カイジ 人生逆転ゲーム physalisさんの映画レビュー(感想・評価)
これはカイジではない。
福本さんの作品はほぼ全て見ていて、大好きです。
カイジも大好きで、映画も楽しみにしていました。
まず、2時間にカイジを入れるのが不可能です。
はしょりまくっていて、カイジの醍醐味である「駆け引き」や心理描写などが薄っぺらいものでしかありませんでした。
限定ジャンケンも、グー買占めや、パー買占め派との勝負、船井の追い込み、古畑・安藤の裏切り、絶望のマジックミラーの部屋での起死回生と、全てはしょってあり、とても修羅場をくぐったとはとても言いがたいですよね。カイジがやったことといえば、カードに血を塗ってすり替えただけ。アホかと。それだけなら、別に限定ジャンケンでなくても何でもいい。ただのカードゲームで血を使ってカードをすり替えただけだし。
それにカード1枚余って別室に行くのも、原作ではカードが一枚余ることを承知の上、覚悟して船井と決戦するのに、映画だとコンビのオヤジが「あ、一枚残ってた」という展開で別室へ。
限定ジャンケンの制限時間が30分になってる時点で、見る気が失せました。豪華客船でやんないでいいじゃん。公民館かどっかでやれよ。って感じです。
そして、別室がこれまた地下。大槻班長のいる地下帝国です。
そういう展開かぁ~と思いつつ、チンチロで脱出するんだな!とちょっと楽しみにしていたら、チンチロなど何もなく、「ブレイブメンロード」に行くやつは自由に出られますよ、という設定。意味が分からん。地下は物理的にどうやっても出られないから地下の意味があるんじゃないの?大槻も囚人(?)側だから人質にもできないっていう設定なんじゃないの?という思いがこみ上げます。
特に、大槻とのチンチロ決戦の爽快感は原作で忘れられないので、映画のような大槻野放しの展開は許せません。
まぁ、ブレイブメンロードは、原作でもあまり駆け引きとかなく面白くないのでいいとして、Eカードも3回戦しかないです。皇帝側と奴隷側を順番にやっていくっていうのもなく、聴覚を賭けるというのもない。まぁ、耳に器具をつけて・・・って言うのもうざったいので、いいとするとしても、なんかよく分からん展開です。借金を返したら数十万円しかなかったから、それを2000万に増やすためにEカード?うーん。
兵藤の狂ってる感じもいまいちだったし(実写では無理か?)、利根川の貫禄(アニメの声優が白竜で超合っているにもかかわらず)もいまいちだったし。
いろんな意味で残念な映画でした。
「カイジが、結局、カードすり替えトリックでうまく行ったね」っていう映画です。駆け引きも何もないです。原作ファンとしては、かなり残念です。
カイジの続編、ないんだろうなぁ~。
あとは、沼、17歩、とパチンコと麻雀だからなぁ。観客動員できるとは思えないテーマだよ。。。個人的には好きだけど。
これでカイジの映画も終わりか・・・。