「クソ長い映画」アラビアのロレンス 完全版 SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
クソ長い映画
午前十時の映画祭で観た。
ジョジョ3部のジョセフのセリフ「わしゃ あのクソ長い映画「アラビアのロレンス」を3回も観たんじゃぞッ!」っていうのが大好きで、いつか観たいと思ってた。
長いってどんだけ長いのかと思ったら、227分だって。確かに長い。最もこれは完全版で、オリジナル版は207分。ジョセフが観たのはオリジナル版だろうなあ。
でもちゃんとインターミッションがあって、ちゃんとトイレ休憩できたのは良かった。ディズニーの「ファンタジア」はインターミッションがあるのに休む時間が無かったからなあ…。
あと、この映画1962年に公開!? こんな昔にこんなすごいスケールの映画がつくられてたなんて…。今観ても全然面白い。
広大な砂漠、英雄とされた人間の悲劇、人間の愚かさ、戦争や殺し合いの悲惨さなどを味わうように鑑賞した。現代の映画と違って演出やカメラワークが素朴なのが妙に生々しい。
歴史とか政治とかよく分からないので正直ストーリーがはっきりしないところがいろいろあって、観たあとにwikiで調べて、あー、そういう話だったのね、といろいろ気づいたりした。
ロレンスがアラブ独立に貢献したっていう単純な成功話なのではなく、どちらかというとうまくいかなかった失敗話、悲劇の話といえる。結局、この時代にうまくいかなかったことが種になり、ずっとアラブは近代化がうまくいかなくて、現代に至るまでずっと中東は政治的に不安定なまま。ロレンスがいなかったらもっと悲惨な状況だったのかもしれないが…。
一歩間違えれば、日本もアラブのようになっていたのかもしれない。幕末から明治にかけて、様々な人間の無私の功績があって、現代の安定した国家が存在しえているのかもしれない。欧米列強はたしかに脅威だけど、それ以上に平和や安定の障害になるのは「無知・無学」「短期的思考」「家意識・部族意識」だということがよく分かった。
史実のロレンスがどんな人物だったかは知らないけど、少なくともこの映画におけるロレンスは高い理想、広い視野を持ち、それゆえにその高い理想を理解できない周囲の人間に絶望する。
日本には日本国全体のことを考えられる人間が多くいたから、近代化に成功したのではないかと思う。現代の平和に感謝したい。
幕末の人は夷狄の脅威に一致出来ましたよねえ、アラブは部族対立が酷い・・宗教的な対立もあるんでしょうが。
とにかくリーン監督は画が凄い、自分のベストは「ライアンの娘」です。