劇場公開日 2010年7月17日

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精神のレビュー・感想・評価

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4.0健常者と障がい者の間には◯◯がある

2020年7月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

精神疾患を持ち生きづらさを抱えている人たちと、精神科医山本昌知氏の日常を「観察」した映画である。

病気ではなく人を看る
本人の話に耳を傾ける
人薬(ひとぐすり)

看るを「観る」に変えると、対人援助職の関わりかたと同じである。そしてそれは権威がある人ほど難しいはずだ。だからこそ山本先生は頼りにされるのだろう。

健常者と障がい者の間には「カーテン」があると患者の発言があった。そのカーテンは「偏見」であり、健常者が作ることもあるが、障がい者も作ることがあると言う。
私は精神疾患を作るのは、心無い、未熟な健常者であり、「障害」は健常者そのものだと思っている。そして「偏見」は健常者の未熟さそのものだとも思っている。

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邪悪ばうあー

2.5☆☆★★★ ※ 鑑賞直後のメモから 『選挙』の監督による観察映画第...

2018年5月8日
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☆☆★★★

※ 鑑賞直後のメモから

『選挙』の監督による観察映画第2弾。

いきなりタイトルの下に《観察映画第2弾》と出て「おいおい!」…と言った思い。

『選挙』は主人公にあたる山内和彦氏のキャラクターが絶品だった。
実に頼りない上に、周りの空気を読み過ぎるマイナス+マイナスの要素が、いつしか特大の➕へと転じてしまう不可思議な、日本特有の選挙制度を。ただ観察するだけで、皮肉に繋がる面白さだった。

ところが今回は、心の病を抱えた人達の観察。
はっきり言ってこれは観ていて辛い。

『選挙』の時とは違い、対象となる人達の気持ちが《死にたい!》…とゆう、重いテーマを抱えているだけに笑えないのだ!
いや、本来ならば笑ってはいけないのだろう…。
おそらく本音で言えば、「是非とも見て考えて欲しい!」…と言った方が正しいのだろう?とは思えるのだけれど。
しかし、実際に出来上がった作品を観ると。「笑って貰って結構!」…と言った意識で演出されている気もする。(実際問題、予告編だけを観たらその様に作られているのだが…)
それを製作者側及び、数人の対象者双方に見受けられるからなんですが…。

それゆえ、『選挙』を観た人達が感じる。「やっぱりこれってどこかおかしいよね〜」との思いも。今回に関し、個人的には「だから何なのだろう?どう感じて欲しいのだろうか?」…との思いを強く持ってしまった。

こんな俺は、意識の低い人間なのだろうか?

2009年6月21日 シアターイメージフォーラム/シアター2

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松井の天井直撃ホームラン

5.0正常と異常の境界線は?

2010年11月29日
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鑑賞方法:試写会

知的

アップリンクで鑑賞。
前作の「選挙」に続いてテロップ・ナレーションのない相田監督の手法はスゴイ!!
観ている側も常に頭をフル回転させながら絶えずスクリーンを追わなければならないので、鑑賞後はブドウ糖が欲しくなりました~!!

それにしても患者が自分自身を語る時みんな冷静に自分自身を語っていたのは意外!!
健常者でもまとまりのない話をダラダラと語るやるや被害妄想が強い奴が結構いるけど、
結局、正常と異常の区別なんてごくわずかでしかないだな~!とこの映画を観て改めて感じました。

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タイクーン

4.5モザイクも取っ払った!

2009年7月11日
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

知的

登場する患者さんは全て撮影を承諾してくれた人で、実名でモザイクもかけません。
 想田監督は精神障害者と健常者との間にある、“カーテン”を取り外したいと願うのです。

 モザイクは相手のプライバシーを守ると言いながら、実は撮る人間の立場を守っていると言います。
 クレームや訴訟を免れることで、撮る方が楽になるというのです。

 しかし想田監督は、それらのものも悉く引き受け、撮影が終わったあとも患者さんたちと一生の付き合いをしていくと言っています。
 そこまで覚悟を決めた監督の姿勢には、全く感服するばかりです。

 舞台は、古ぼけた大きな民家を診療所にした精神科。
 白衣やユニフォームを着た人はおらず、誰が何なのか分かりません。
 待合室は隣の棟で、幾つかの畳の部屋に患者さんたちが好き勝手にしています。
 ただの家にお客さんたちがたむろしているようにしか見えません。

 それらを見ていると、障害者と健常者の区別はつきません。
 患者さんの一人が語っていたように、健常者にも完璧な人間などいない、誰しも欠陥を持っている、そこから自らも偏見を取り除いていったといいます。

 患者さんたちは、やはりそれぞれ壮絶な体験をしてきています。
 様々な困難を抱えた中でも、本を読み思索を深め、趣深い心に沁みる言葉を語る患者さんもいます。
 詩人であり、賢者であり、ユーモアもたっぷりです。

 こういう人たちがいるのも、診療所の“赤ひげ”山本医師の存在があるからでしょう。
 無骨なじいさんですが、患者さんの話に耳を傾け、親身な言葉を投げかけます。
 それによって患者さんたちは落ち着き、人を信頼することができるのです。
 患者さんたちが映画撮影を承諾したのも、山本医師に支えられているからでしょう。

 精神障害者と健常者の間のカーテンは容易にはなくならないとはいえ、こうした一歩が積み重ねられていくことが大切でしょう。
 その試みこそが評価されるべきだと思います。
 カーテンを開けたいという想田監督の想いは、我々に何かを投げかけてくれるのではないでしょうか。

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シンコ