「ウォルトのギャップが魅力的」グラン・トリノ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
ウォルトのギャップが魅力的
主人公ウォルトは偏屈で昔気質なじいさん。息子はおろか孫にまで煙たがられている。そんな彼が、モン族を初めとした周囲の人々との関わりを通じて、男気、正義感の強いところ、面倒見の良いところ、意外とユーモアもあるところなど、良いところをたくさん見せてくれる。取っつきにくいが深く知ると実は面白い人、というギャップがあるのが魅力的。人物の意外性というのは、その人の魅力を増幅させることが分かる。
映画ではウォルトとモン族の少年タオとの交流を中心に描かれているが、時々出てくるヤノビッチ神父も魅力的だ。ヤノビッチ神父はウォルトに、神父のマニュアル通りのことをしているだけの若造と罵られる。しかしウォルトと付き合い、その男気や人生経験の深さに触れると、彼も変わってくる。神父のマニュアル通りではない、芯の強さを見せるようになる。そのため、元々の真面目で誠実な彼の気質に加えて男気も備わり、人間的な魅力が増した。彼は、ウォルトと付き合うことで一皮剥けたのだ。
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