「婦人警官の噂話を集めてる。」笑う警官 yuki-yo@ybfbwさんの映画レビュー(感想・評価)
婦人警官の噂話を集めてる。
2009年公開の、映画。
角川春樹、十一年?ぶりの監督作品。
監督だけじゃなく、脚本、プロデュースもやってます。三冠です。
さて、この映画のどこが悪いのか。
それを挙げ始めるとキリがないぐらい、国内産映画の悪いところが、ワンサカと盛り込まれております。
負の集大成。反面教師として、世に残しておきたいレベルでございます。
そんな映画を角川春樹が撮ったってのが、また、な。
ストーリーは、
警察内部の不正を暴くため、独断で行動を起こす刑事達を描いた、社会派サスペンス、なのかな。
まず、
パッと見てわかるは、画面の古臭さ。許されても九十年代前半ぐらいか。
絶妙に古臭い絵面で、Vシネマのよーだ。Vシネマなのかも。
そして不意に始まるサックスの演奏、流れるJazz。
ダサい。ギザダサい。
ハードボイルドでも狙っているのか、大人の雰囲気を醸し出したいのか、
どちらにしろ、完全にハズしております。
オープニングでJazzをセレクトしたのがダサいし、そのJazzの曲がまたマッチしてない。
そしてその流れのままに、女性が絞殺されるシーンへ移る。
ああ、サックス吹きながら首締めて殺したんか、器用だな、
と、最初はおもったが、違いました。手が塞がってるからね。
場面は変わって、その後の事件現場。
生活臭のない不自然な一室での殺人事件なのだが、カメラが一方からしか映さず、全体を見せない。オシャレな演出だ。
この部屋は不自然だと、セリフだけで説明する。
他の部屋で証拠品が見つかったと、これもセリフだけ。移動はしない。
この見せないってのは、
じつにアンフェアな感じでイライラするし、演出的にも大した効果はみられない。
んで、セリフだけで説明しちゃうってのは、最後までずっと続きます。
ぜんぶ言っちゃうし、ぜんぶ説明しちゃう。
オレは怒ってるぞー、とか、
羨ましいですねー、とか、感情も含めて。。。アホかと。
しかもそれで分かり易くなってるのかとゆーと、そーでもなく。
基本、捜査してる刑事のコイツら、
突っ立って話すか、座って話すかのどっちかで、動きのない会話をするから、分かり難いんだよ。
場面が単調だから、印象も残らないし。
さらに、
でました、邦画名物、声が小さい。
モゴモゴモゴモゴ。近くで赤ちゃんが寝ているのかと。
わたくしの耳が悪いのか、役者のせいなのか。あるいは音響さんか。
映画は、映画館以外でも観るんだってことを忘れてんじゃないのかな。
つか、コレじゃ映画館でも聴こえないとおもいますけどね。
それに加えて、脚本のセリフ回しが悪くて聞きにくい。いまどき、セリフみたいなセリフを喋らせるな、と。
警察の正義がー、とかさ、もっと他に言い方ありますよね?
そんで、キャスト。
不正を追求する刑事グループみたいのがメインとなってるんだけど、
これがまた、みんな裏切りそーなキャラばかり。
実際、グループの六人中、二人裏切って、一人抜けたし。半分も欠けてるし。
残った三人も、
その内の一人は、「正義」が口癖の新人だし、
松雪泰子演じる女刑事は、パソコンが得意wで、ケータイで婦人警官の噂話を集めてるだけだし、
主人公の大森南朋は、じつは敵側と繋がってるし。
って、全員ダメじゃねーか!
そんで、雨上がり決死隊の宮迫さんが、かなり重要な役割で出てくるんだけど、これは明らかなミスキャスト。
役者としての宮迫さんに不満はないんだけど、向き不向きはありますよ。
捜査する側の役だったらまだマシだったとおもうけど。
そんで、
元警察の人間が経営してるウラの店、怪しいバーってのが出てくるのです。隠れた、刑事のたまり場、みたいなの。
そのバーのマスターが大友康平なのは譲るとしても、
お店自体が、ぜんぜん、いかがわしくもなければ、むしろ、すんげー明るいの。喫茶店かとおもったよ。
どんな照明使ってんだってぐらい明るくて、ネット環境も整ってんの。
バーだよ? JazzBAR。しかも、ウラの店って…。
で、ね、
あの殺人事件には何かあるぞ、追求するぞと、集まった奴らがね、
「俺達はバンドだ。ビッグバンドだ」
「なんて名前なの?」
「ラフィンポリスメンだ」 っつー小粋な会話をするのです。
笑う警官って、そーゆー意味か。
つか、
その会話、要るか?
んでんでー、
分かり難ーい&つまらなーい捜査が始まりまして。
液晶テレビが盗まれてた、とか、
変な噂があった、とか、まースリルもサスペンスもなくて。
あ、そんでこれまた、重要な空き巣の役に、中川家とかキャスティングしてんの。
中川家は悪くないけど、他にも要るでしょ? と。
で、
結局、事件も捜査も出来レースみたいなものだったとわかるんだけど、それもクソみたいな理由でねー。
もー、どーしたらここまで退屈に撮れるんだってぐらい、ヤマもタニもないシナリオで。
そいやバーのマスターの大友康平も裏切るんだけど、
ってことは、
そもそも敵側にぜんぶ筒抜けだったわけなんだけど、その割には目標に逃げられたりするんだな。
つか、最初に通報した奴、誰だっけかな?
殺人事件があった一室は、警察のアジトみたいな場所で、むしろ一番安全だったんだけどね。警察のお偉いさんとか、みんなラブホテル代わりに使ってたし。
さ、そんで話を戻しますが、
殺しも請け負う大友康平が、いろいろあって大森をライフルで狙撃します。
見事、左胸に命中しますが、無事でした。
あの距離でライフルに撃たれたら、貫通して後ろの車にも穴開くだろうし、防弾チョッキも通用しないとおもうんだけど、無事でした。
元気になって、サックス吹いてました。
そもそも大友さんは、どっから狙撃したのだろう。。。
前方には建物があるし、まわりは警官とマスコミだらけだし。
ま、それは些細なことで、
むしろ意図が不明な、カメラの位置ってのが、なんかずっとおかしいのです。
例えば三人いるとして、
一人は自らの罪を吐露していて、一人はそれを問い詰めていたら、
普通はこの二人を中心に、表情がわかるよーに撮るでしょ?
でもコレだと、そんな二人をぼやっと見つめているもう一人を映して、
残りの会話してる二人は顔もろくに映さないばかりか、見切れてやんの。斬新過ぎるわ。
そんでもって、やっとエンディングなんですが、これがまたオシャレでねー。
例の、ウラのバーで、大森ら刑事グループがJazzをバンドで演奏して、
それを悪役やらなんやらが酒飲みながら眺めてるの。死んだ奴も殺された奴も。
オシャレが過ぎて、頭痛くなってきましたよ。
しかもまだ終わらないのがこの映画の凄いところで、
エンドロールがぜんぶローマ字&へんな書体で、見にくい!
役名もナシ!
やってくれたぜ、ハルキ!! 光よりも早くハードディスクから消してやったぜ!
と。
整理のない、乱雑な文章になってしまいました。
申し訳ない。
この映画の魅力がどれほど伝えられたかわかりませんが、
ホント、
逆の意味で、ぜひ観ていただきたい一本でございます。
ただ、一つ、誤解してほしくないのは、
かつて日本の映画にあった熱さと、アナーキーさと、コレはまったく別物だってこと。
だって、2009年の作品だよ?
シリアスに作っておいて、これだよ?
何が悪いかって、酷くて笑えもしないのが、最悪だとおもいますわ。
「笑う警官」なのにな。