「巨大スケールを持て余し気味。消化不良な超大作。」火天の城 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
巨大スケールを持て余し気味。消化不良な超大作。
日本史上最大の城を僅か3年で完成させろという織田信長の無理難題に、建築への情熱とその人望で挑んだ宮大工・岡部又衛門とその仲間逹の物語。スケールも期待度も十分の本作だったが——
……この映画が気に入ってる人はこの先読み飛ばしてください。
建築に際して様々な困難が振り掛かってくる訳だが、どのエピソードも演出が淡白というかヒネリが無いというか……役者陣の熱演に対して淋しい演出がまるで噛み合わず、全体として空回り気味な印象。思わず席からずり落ちそうになるほど唐突な場面も少なくないし(最後に突然再登場するあの人や、動機もテンションもよく分からない襲撃シーンには正直笑った)、エピソードの構成も何だか気持ち悪く、ラストも消化不良……。
主人公・又衛門も、目の前に立ちはだかる困難を職人の誇りと熱意で突き崩してゆくというより、「何卒、何卒ォ!!」と邪魔する相手をひたすら拝み倒して我を通しているだけに見えてしまう。他の登場人物も含め、もう少し説得力のある台詞や行動を練れなかったのかしらん。
皆が壮大なスケールを持て余し気味な中、大竹しのぶだけが胸に迫る演技で映画を救ってくれていたように思う。本当に凄い女優さんだ……。
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