その男ヴァン・ダムのレビュー・感想・評価
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がんばれヴァン・ダム!
本作はですね、あの!ヴァン・ダム自身の自虐的なギャグを随所にちりばめた、セルフ・パロディなんですよ。
でも、パロディって言って良いかどうか……。
ちょっと酸っぱい顔になる、若干引く台詞が満載なんです。
どんな台詞かって言うと、こんな感じですよ。
「そろそろ大作に出させてくれよ!」
「もう(撮影当時)47歳だよ、アクションきついよ」
大作の主演に決まるも、スティーブン・セガールに役を取られる!
「でもセガールも、初めてポニーテールを切って出演するんだから……」ってつぶやくヴァン・ダム。
うう、泣ける!
80年代は人気があったけど、今は落ち目。
出演作はほぼ劇場公開されず、ビデオスルー。
次回作の出演料を前借りしたくらい、困窮してるヴァン・ダム。
本国ベルギーに戻って立ち寄った郵便局で、そこを襲撃した強盗に間違えられる。
でも落ち目だといえども、本国ではヴァン・ダムは国民的なスターです。郵便局の周りを、ヴァン・ダムのファンが取り囲む。
しかし郵便局の中で繰り広げられる、強盗と、落ち目スターのやり取りが深く、切ない。
これだけヴァン・ダムと被る主人公なので、本作はフィクションでありながら"ヴァン・ダムのドキュメンタリー"と言っても過言ではないと思います。
その他にも「ジョン・ウー?ヴァン・ダムがハリウッドに呼んで、有名にしてやったようなもんじゃないか。でも、売れたら直ぐにヴァン・ダムを捨てた。ヴァン・ダムが呼んでなきゃ、ジョン・ウーなんて未だに香港で"鳩"を撮ってるよ」とか(笑)
あのーですね、たまに拍手してしまう台詞があるんですよ(笑)!
喜ばせるなー。映画ファンのツボを突いてくるなーって、感心しました。
人気や実力はあるのに、作品に恵まれずに落ち目になってしまった。っていうヴァン・ダムの自虐的なギャグは、思わず笑ってしまった後に、ちょっと切なくて泣きたくなります。
でも本作はベルギー映画なんです。
「俺は空手で礼節を学んだ。ハリウッドでもそれを実行したが……」
うん、うん、そうではなかったんだよね(泣)分かるよ、ヴァン・ダム!
ヴァン・ダムの人柄が、よく分かる作品でもありますね。
本作をハリウッドで撮っていたら、かなり痛々しい作品になっていたかも知れません。
でも、まだ、まだ、まだ!尊敬の眼差しをヴァン・ダムに向けるファンが、ベルギーには沢山いる。
それが、救いです。
だからこそ、その視線を受けて、再起を図ろうと真摯に困難に立ち向かうヴァン・ダムが輝くんです!
いや、こんなに輝いてるヴァン・ダムを観たのは初めてです。
演技派転向でもいいと思う。頑張れ、ヴァン・ダム!
PS ファンとヴァン・ダムのやり取りに、爆笑!かなりの"あるあるネタ"です。
そのアイデアに座布団1枚!
落ちたムービースターの境遇を逆手に取ったドキュメンタリー風の映画。本当にすたれたスターならこの映画の企画でさへ通らなかっただろうが格闘一辺倒の俳優ではなく、しっかりと人生を振り返り、涙さながらに訴えるシーンは秀逸。薬物や離婚訴訟の家族や、父母までオールスターで出演しています(本物かどうかはわかりませんが・・)スタローン、シュワルツネッガー、往年のスターがまだ頑張っているので彼にももうひと花咲かせてほしいい(ユニバーサルソルジャー2は面白かったぞ!!)
愛に満ちた異色コメディ
本サイトの評論で,森山京子氏は「リスペクトのかけらもない演出」と断じていますが,私はまったく逆の印象を受けました.監督,キャスト,そしてベルギー国民から,おらが町の大スター・ヴァンダムへの愛があふれていると思いました.
ジョン・ウーのくだりは,映画ファンならニヤリとすること間違いありません.
ちなみに,本作は珍しく原題・邦題ともにセンスあるタイトルが付けられています.原題・役名ともに「JCVD」(=ジャン・クロード・ヴァン・ダム!)なので,本作に出てくるヴァンダムは,じつはJCVDという「役」を演じているだけなのです.
万人にオススメできる作品ではありませんが,個人的には好きな一本です.
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