「彼女の資質に胸打たれる」大丈夫であるように Cocco 終らない旅 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
彼女の資質に胸打たれる
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歌手Coccoのコンサートツアーを追い掛けたドキュメンタリー映画ですが、これは一介のコンサートツアーを撮影したドキュメンタリーとは違う趣を持っている。
映画を観終えた今、彼女の持ち合わせている“資質”に深く感動した。
これまで彼女に関してはそれ程の興味を持っていなかったので、詳しい事は解らない事だらけ。
もしも間違いで無ければ一旦芸能活動を中止して居たと記憶しているんですが…。
このドキュメンタリーを監督したのは『誰も知らない』『歩いても 歩いても』の是枝裕和監督。
沖縄に生まれ、沖縄人として厭な事を“厭”と言えず受け入れ無ければならない現実を目の当たりにし、それを“仕方無い”と受け流して来たと話す彼女。
とにかく、「歌う事しか出来ない…」と語りながら、世界の平和を願い、進む環境破壊に憂いを持つ。その小さな身体全体で悔しさ・辛さ・どうにもならない焦燥感を抱え込んでいる事実…。映画前半のハイライトにあたる青森でのコンサートでは思わず号泣してしまった。
是枝監督の演出も、彼女を介して“様々な問題定義”を投げかけており、それには一環した姿勢が感じられる。
ただ、“ある生き物”が姿を表した映像を作為的に挿入したのはドキュメンタリーとして果たしてどうだったのか?との疑問点は在るのですが…。
それでも彼女が発する《祈り》にも似た、魂からの叫びの様な歌声には心を激しく揺さぶられてしまいました。
(2008年12月18日シネマライズ DOWN theater)
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