花ゲリラのレビュー・感想・評価
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つながっていくもの
単調で、でもしんどいことの多い日常・・・
大きな不幸ではないけれど
人生の小さな淀みにはまってしまって
なかなかそこから抜け出せないようなときに
そっと静かに背中を押してくれる・・・
そんな映画でした。
この映画は、多くを語りはしないですが
小さな小さな花のタネを蒔くことのように
ほんの少しの人とのつながりや
ほんの少しの勇気と行動力が
やがて人生を大きく変えて行く・・かもしれない・・
・・というメッセージが奥ゆかしく繊細に描かれています。
ちょっとコミカルなシーンやサイドストーリーもあって
みんなそれぞれの人生をそれぞれのやり方で
懸命に生きているんだよね・・というのが感じられました。
夜のシーンが多いですが、その蒼い空気の美しさが
とても印象的でした。
そしてラストにはガラっと色彩が変わり、
心まで明るくしてくれました。
音楽もとても合っていてよかったです。
元気が出る
すべてが効率よくスピーディーでないとダメな現代。
深夜、線路わきや公園に「金鶏菊」の花の種を植えるだけで1日が終わる青年がいる。
OL映子はひきこもりの青年ユウスケと出会い、花の種を植えるという行為に興味を持ち一緒に種を植えるようになる。
同じ生活の繰り返しに疲れていた彼女の生活に潤いが生まれた。
しかし線路わきや公園に種を植えるということは一般人には理解されず、警備員にとがめられたりする。
映子は「昼間会って、電車にのって種が花開くのを見よう。このままじゃ何も変わらないよ。」と言う。
昼間はずっと寝ていて起きることもできないユウスケにとってはつらい言葉だった。
「うっとおしい。」と言い放ち、ユウスケは映子から離れた。
映子は人生をつまらなくしていたのは自分のせいだったことに気づく。そしてコンビニ弁当をやめてご飯を炊きおかずを作ることから始める。
ある日ユウスケに映子からの電話が入る。
「金鶏菊の花が咲き始めました。」というだけの電話。
ユウスケの心に芽生えた勇気が花開いていく。
ほんの少し踏み出すことで大きな幸せを感じることができる、幸せはその人の考え方ひとつというメッセージが込められた作品。
最後は黄色い金鶏菊がいっぱいのきれいなシーンが続き、楽しい気持ちになった。
大きなできごとや派手なシーンがあるわけではないが、引き込まれ、最後はさわやかな気持ちにさせられる。
映子目線なのはいいのだがユウスケほうの話をもう少しいれてもよかったんじゃないかな。
川野監督の美意識があふれていて、ユウスケが薄暗い夜明けに道を歩いていたり、線路で花を植えているのもきれいなシーンになっている。
ユウスケ、映子が自然な演技で説得力がある。
疲れているときに見ると元気がでるような作品。
花ゲリラをやってみたくなる。
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