20世紀少年 第2章 最後の希望 : インタビュー
昨年夏、ついにベールを脱いだ日本映画史上空前の超大作「20世紀少年」の続編「20世紀少年 第2章/最後の希望」が、今週末早くも劇場公開される。eiga.comでは、約3000人という大オーディションの中から第2章のメインキャラクターであるカンナ役に選ばれた平愛梨にインタビューを敢行。堤幸彦監督のインタビューとともにお届けします。(取材・文:編集部)
平愛梨インタビュー
「本当に皆さんが作ってくれたカンナだと思ってます」
──オーディションの数日前に原作漫画を一気に読んだそうですね。
「作り話って言われそうなんですけど、この作品とは本当に運命的に出会いました。オーディションの話は知らずに、友達に『これ面白いよ』って薦められたのが、この『20世紀少年』だったんです。でもその時は、コミックが全部で20巻以上もある長い作品ということと、その場にコミックの第1巻が無かったので、スルーしたんですけど、あとから事務所にオーディションの話を聞いたときに、『あ、このタイトル』見たことあるなって思って、そこから一気にテンションが上がって、買いそろえて読んだんです。私自身、14歳で東京に出てきて、芸能界に入ってもう9年も経っていたので、そろそろどうにかしないとっていう危機感を持ってました。だから、ここで駄目だったら区切りをつけようと決意して、漫画のカンナに自分を似せて、オーディションに行きました」
──やっぱり決まったときは嬉しかったでしょうね。
「嬉しかったですね(笑)。決まったときは事務所の方に『愛梨の今後の方向性を考えたい』と言われて呼びだされていたんですが、事務所に行ってみたら、プロデューサーさんがいらっしゃって、メイキングビデオみたいのを撮っていたんです。そして、審査決定が入った封筒が目の前に出されて、『オーディションのときの心境を教えて欲しい』って聞かれたんです。私はたぶんこのメイキングの番組に、落選した候補として出演して、いやな辞め方をするんだと思っていたら、封筒の中から『カンナ合格です』って書かれた紙が出てきて、色んなことが込み上げてきて号泣してしまいました(笑)」
──合格したことを最初に伝えたのは?
「やっぱり母ですね。家を出るときにも、『事務所に今後の方向性を考えたいって言われて呼ばれてる。もう駄目かもしれない』って言って出てきたんですけど、そのとき母は『じゃあ、もう後悔しないように、あなた自身ちゃんと話してきなさい』って言われて玄関を出たんですよ。だから、私が事務所で話しているときにも母から凄い数の着信とメールがあったんです。で、オーディション合格の話し合いが終わったあとに『今終わった』って泣いて電話かけたら、母は私が落ちたと思って、『泣かないで、ちゃんと早く帰ってきなさい』って言ってくれたんです。
そのあとまっすぐ帰宅したんですが、私もサプライズが大好きなんで、受かったことは内緒にして『芸能界って、ひどいやろ〜』っていいながら封筒を渡したんです(笑)。そしたら、母は中の紙を見て『ちょっと、これホンマなん?』って驚いて号泣です(笑)。それからすぐに仏壇に手を合わせて『神様、ありがとうございます』って祈ってましたね」
──最終審査のとき、堤監督と浦沢さんはほぼ即決で平さんを選んだそうですね。
「そうなんですかね(笑)。でも打ち上げの時に、浦沢先生が『オーディションのときに、あなたが入ってきて、椅子に座るときにちょっと横の下を見ながらフフッと笑ったんだよ。それで、この子なんか持ってると思って決めたんだ』っておっしゃって下さったんですが、実際の私は緊張で笑う余裕すら無かったんです」
──原作漫画はカンナ役を意識して読んだそうですが、カンナと平さんご自身との共通点は?
「似てるところは、凄く喜怒哀楽が前面に出て泣いたりするところと、ボーイッシュなところですかね。身体を動かすことが好きで、歩くよりは走るっていう方なんです。で、ちょっと違った部分が、カンナは自分の意志が本当にしっかりしてて、まっすぐ先頭に立って皆を引き連れていくっていうタイプだと思うんですが、私は誰かに何かを言われると、『そうなのかなあ』ってついて行ってしまうところですかね」
──役をもらって不安があったと思いますが、その不安はどのように解消したのですか?
「これだけの大先輩の方との仕事ということと、カンナという大役ということで2重にプレッシャーに感じてしまって、一言の台詞さえもどういうふうに言えばいいんだろうって考えこんで、答えが見つからないまま現場に入ってしまったんです。だけど、現場で演技をしてみると、堤監督がアイコンタクトで肯いてくれるんです。緊張して撮影の前の日は寝られないことが多かったので、撮影中は出番が終わるとセット裏の椅子で寝る日が多かったですね」
──そういう睡眠不足が顔に出たりしませんでしたか?
「お肌が荒れちゃったりして、メイクさんに『また寝てないでしょ』とか言われたり、緊張でご飯が食べられないこともあって、常盤さんに「なんで食べへんの? 緊張? 大丈夫やて、カンナやで、カンナ」って声をかけていただいたりしました。常盤さんとは同郷(兵庫県)なので、ずっと関西弁でしたね(笑)」
──撮影中、大変だったことは?
「大きな音とか、ピストルの発射音とかで心臓が驚いちゃうんですよ(笑)。あと、ケンカとかも目の前で見るのが本当に辛いんですよ。なので、映画冒頭のマフィア同士の銃撃を止めに入るシーンとかも、仕掛けで隣のガラスが割れたあとに間に入るという段取りだったんですけど、アクション監督さんに『やりなおしがきかないよ』って言われて、ビクビクしながらやったんです(笑)」
──現場ではやはり役名の通り、“カンナ”と呼ばれていたのですか?
「そうですね。皆さん、カンナから自分への切り替えが、大変だったんじゃないか?っていわれることが多いんですけど、もう素でやってたみたいな感じで、あまり切り替えとか考えたことないですね。みんなが『カンナ、カンナ』って呼んでくれる方が嬉しかったです」
──この作品に参加して、自分が一番変わったところはどこですか?
「ひとつひとつのことに対してちゃんと向き合って行かなきゃいけない責任感というか意識が芽生えましたね。それは作品、取材を問わず、何に対しても、ちゃんと自分を置いて考えるようにしていかないといけないなあって思うようになりましたね」
──好きな女優さん、目標とする女優さんはいますか?
「富司純子さんが好きですね。凛とした昭和の女性が男性の後ろを3歩退いて歩く姿に憧れます(笑)」
>>堤幸彦監督インタビューへ
インタビュー