劇場公開日 2009年6月27日

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群青 愛が沈んだ海の色 : インタビュー

2009年6月23日更新

沖縄の離島を舞台に描く「群青/愛が沈んだ海の色」(6月27日公開)で長澤まさみが演じるのは、幼なじみの婚約者を海の事故で亡くし、心の均衡を失ってしまうヒロイン・凉子。この作品で女優としての新境地を開いた長澤が、ロケ地となった沖縄・渡名喜島での撮影秘話や役作りについて語ってくれた。(取材・文:編集部/撮影:堀弥生)

長澤まさみインタビュー
「この映画を通して感じたのは、誰かに頼るのも大事だということ」

精神的バランスを崩してしまうヒロインを静かなトーンで演じた長澤まさみ
精神的バランスを崩してしまうヒロインを静かなトーンで演じた長澤まさみ

――原作本より映画の方がずっと控えめな表現でした。精神を病んだ女性を抑えた演技で演じる難しさはありませんでしたか?

幼なじみの一也と将来を誓い合うが…
幼なじみの一也と将来を誓い合うが…

「キャラクターの描写が少なく、なぜ凉子が心を閉ざしてしまったのかという部分がすっぽり抜けてしまっていたので、そこを理解するのは苦戦しました。凉子はなぜ恋人の一也が死んでしまったのか答えを探していて、でも誰も答えてくれない。凉子がその疑問をずっと問いかけていたのは、亡くなったお母さんだったんです。

凉子がピアノを弾いていると風が吹いてきて、そこで『お母さん』と言うシーンがあるんですが、そこでなぜ凉子がお母さんを呼ぶのか分からなくて、撮影前に監督に聞きに行きました。監督からは『凉子にはお母さんがいなかったから、凉子にとってのお母さんは形見のピアノなんだ。ピアノを弾くことで凉子はお母さんに訴えかけているんだ』と言われて、そこでようやく凉子が病んでいく過程の気持ちの筋道を立てることができました。彼女は一也が死んだ理由をお母さんに問いかけ続けていて、答えてもらえないから自分の中だけで堂々巡りしてしまう。そこに凉子が自分の殻にこもる理由があったんです」

――沖縄ロケで一番つらかったこと、逆に一番楽しかったことは?

インドなど酷暑での撮影経験もある長澤だが 渡名喜島の暑さには閉口したという
インドなど酷暑での撮影経験もある長澤だが 渡名喜島の暑さには閉口したという

「つらかったのは何といっても暑さです。あまりの暑さで熱中症になって熱を出してしまいました。これまで暑い国にもけっこう行ってますが、今までで一番暑かった気がします。さらに役柄の関係で日焼けしてはいけなかったので、あまり外に出られなかったんです。でもせっかく沖縄に来てるんだから泳ぎたいと思って、夕方日が暮れてから女性スタッフと一緒に海に行ったのはすごく楽しかったです。暑さで体調管理が大変でしたけど、みんなでお酒を飲んだのもいい思い出になりました」

――凉子はピアノを弾くことで母親との繋がりを感じて心を回復していきますが、ご自身の落ち込んだときの気分転換の方法は?

「ドライブですね。最近車を買ったのでよく運転しています。落ち込んでるときは運転するなと教習所で習ったような気もしますが(笑)、自分では安全運転派だと思います。ドライブはいい気分転換になるし、落ち込んだときはなるべく気分を変えるように心がけています。最近は料理や掃除するのも好きなんですが、そうやって何かに集中していると余計なことを考えずに済むし、集中力をつける訓練にもなるんですよね」

――凉子は責任感が強い女性ですが、共感できる部分はありましたか?

「抱え込みすぎるのは駄目だと分かっているんですが、私自身も彼女のように考え込んでしまうところがあります。この映画を通して感じたのは、誰かに頼るのも大事だということ。ひとりでずっと考えても何も進まないし、どこかで出口を見つけないといけない。それを教えてくれるのは自分以外の存在だと思うんです。凉子の場合はそれがお母さんであり、お母さんの後押しで出口を見つけることができた。時には他人に頼ることも大切なんです。以前は『大人は何でも自分でやらなければ』と思っていましたが、それでは視野が狭くなる。いろんな人の意見を聞いて成長していかないと、どんなことでも前に進む道はないんだと思いました」

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