「うーん、違和感のオンパレード」ノルウェイの森 naopod54さんの映画レビュー(感想・評価)
うーん、違和感のオンパレード
19歳で初めて読み、当時同世代だった「ワタナベ」に自らを重ね合わせて学生時代に12回も読み返した「ノルウェイの森」。社会に出てからも10回は読み直しているが、何度読んでもせつなく、19歳のとき感じたあの感覚をまた思い出せる、36歳のおっさんにとってのセンチメンタルジャーニーな存在、それが私にとっての「ノルウェイの森」なのです。キモイですね。はい、わかってます。
そんな思い入れがあるだけに、見るべきか見ないべきか迷っていたのですが、やはり見てしまいました。そして、個人的には(あくまで個人的には),自分の中で確立してあるあの世界とは違うものでした。残念ながら。
いくつか自分の中でその理由を考えてみたのですが、
1 やはりトランアンユアン(監督)の当時の日本の描き方(特に学生運動のシーンや街中のシーン)に日本人として違和感を感じる。
2 女性陣のキャスティングが違う。直子役の菊池凛子はテレビでガハガハ笑っているところを見てしまっているので、本来直子が持つ繊細さと脆さがやはり演技だけからは感じられない。そして緑役の水原希子は逆に細すぎてそして子供すぎる。演技初経験らしいが台詞も棒読みに近く,本来緑が持つ不幸な人生を送りながらも強く前向きに生きようとする生命力を感じられない。そしてレイコさん。きれいすぎるし、色っぽすぎる。白髪もないし。最後のシーンのいい意味でのエグさみたいなものがなく、単にエロイだけになってしまっている。
3 たぶん原作に忠実にかなり撮ったと思うのだが、編集でかなり削られているのが見え見えで、読んだ人でないとストーリーに追いついていけない。
書いているうちにアツクなってきてしまった。。。。。。いずれにせよ、20回以上読んでいる私の中での世界観と違うということですから、楽しめる方も多くいるとは思います。とにかく松山ケンイチは相当いい!若い頃の村上春樹そっくり。演技もうまいし【ワタナベ】感凄く出てました。いい俳優さんですね。はっきり言って彼だけが私にとっては救いでした。
ということで、ハルキストとしては今後に関しては作品の映画化はしなくてもいいのではと感じてしまった「ノルウェイの森」でした。