60歳のラブレターのレビュー・感想・評価
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医者の診断に五分五分は絶対に無い。言わない!!
世代的には団塊の世代と断層の世代との葛藤だと思う。そして、その殻を破って新人類が実現する。そんな過渡期。しかし、世代を超えて、こんな立場の人はいないだろう。ある意味寓話。
物語だからこうならない。別れたあと新しく相手が出来る事は無いし、新しい職が授かる事は無いし、定年を祝われる事も無い。特に今はない。
現在の『PLA◯75』の対象者の震災前の現実。
知り合いと自分の過去を見る限り、夫婦なんて、こんなもんではない。また、良いものでは無いと思うけどね。まぁ、良い場合もあるでしょう。兎に角、この人たちは、日本の中産階級で、彼らの姿は、色々な崩壊の象徴的な逸話として見るべきだ。そして、震災をきっかけに日本経済は右肩上がりを止めてしまう。
まぁ、制作者達は団塊の世代の子供の世代で一瞬人数が増えて、日本社会が復活するかに見えたときなのかなぁ?
「女医」を思い出した
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3組の60歳くらいの夫婦・カップルを描く。
A
親に言われた女と結婚し、愛のない生活をして愛人を作っていた男。
離婚して元妻は別の男と付き合い始めるが、過去の妻から手紙が来る。
結婚した時に申し込んでいたものだが、それを読んで感動。
妻と恋人を待ち伏せて謝罪し、手紙にあった妻の希望をかなえる(ラベンダー)
結局恋人の方が引く形となり、妻は男のもとに帰って来る。
何かジャック・ニコルソンとキアヌ・リーブスの映画であったような展開。
B
妻を亡くし、再婚しようとする男だが、娘が気に入らない。
新しい妻は有名翻訳家で、一見高飛車に見えるところがあった。
が、娘のツンケンぶりに疲れ果て、その父との結婚を諦め、告げる。
娘は考えなおし、父を通じて翻訳を依頼する。
その内容が、ワガママな娘もいるが父をよろしく、ってな内容だった。
クサイが、なかなか斬新なパターンだった。
C
何かギターがどうこうのカップルの話。
女の方が死にかける、男の方がその前で弾き語りする。
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シドニー・シェルダンの「女医」を思い出した。
三者三様に物語が展開していくが、それぞれの関連性が薄いパターン。
名作といわれる「女医」だが、もの凄い違和感を感じたのを覚えている。
複雑に絡み合わないのだから、主人公を1人に絞ればいいのでは?
もしくはいっそ3分割して3本立てオムニバス映画を作ればいいのに。
前にも書いたが、別のことをしながら見てもわかる内容でなければ、
その映画に高い点数をつけることはできない。
かなり偏った意見に思われるだろうが、果たしてそうだろうか?
このサイトには素晴らしいレビューを書いておられる人が多い。
ただそういった、見る目を持っている人の方がむしろ少数派だと思う。
昨今の映画産業界では、DVD販売が大きな位置を占めるようになっている。
こういった部分はかなり大事になっているのではないだろうか?
その意味でも主人公は1人に絞ってもらいたいところ。
夫婦である奇跡。
自分の両親を見ていても感じることだが、
60歳を超えてなお、夫婦仲良く暮らしていること自体が、
これからは奇跡なんだろうな…と思う。
ここでも描かれる熟年離婚、年金欲しさに待ったをかける
妻も最近では多いようだが^^;
いかんせん、結婚した時はそんな未来を予想しなかったろう。
昔読んだ雑誌のエッセイで(その著者は離婚経験者だったが)
公園のベンチで日向ぼっこをしている老夫婦に憧れたという。
自分も歳月をかけてあんな夫婦になりたかった…。
でも、なれなかった。だから今苦しんでいる夫婦を助けたいと
カウンセラーになったのだそうだ。それを読んだ時、
何事も経験なんだな…とただ思った。離婚を経験して初めて、
結婚の偉大さ(大げさか)に気付いたという話だった。
今作は実際に一般から募った8万通を超えるラブレターを元に、
3組のカップルを通して描かれる話だった。けっこうリアルだ^^;
最も共感したのはイッセー尾形と綾戸智恵演ずる魚屋夫婦。
この夫婦、口を開けば憎まれ口ばかり。相手をけなしては
愛を確認する。という^^;バカげた夫婦ではあるのだが、可愛い。
ミュージシャンとその追っかけだった。という設定からして、
互いの向いている方向(価値観)が同じということが伝わるので
何を欲しているのかが分かるのも頷ける。
糖尿病治療を頑張った旦那へのご褒美が、あの時期に
あんな形で彼の前に現れるシーンにはさすがに涙がこぼれた。
言わずとも相手に伝わる以心伝心の呼吸に叶うものはない。
5年前に妻を亡くし、年頃の娘と二人暮らしの医師・井上順と
翻訳家・戸田恵子の間に芽生える恋もなかなか面白かった。
亡くした妻とは正反対の女性を好きになる会話のヘタな男と、
もう結婚など出来ないと開き直り仕事一筋の可愛くない女。
社会的に恵まれた地位の人ほど、案外孤独で寂しいものだ。
仕事が出来るから私はモテないなどと息巻く中年女が、
(その態度だからモテないんだと思いますけどねぇ)
彼の娘と対等に対峙してしまう精神年齢の低さにも笑えた。
おそらく彼には、そういう素直さが新鮮だったのかなと思う。
「50過ぎたらIQより愛橋」と言った中尾ミエの言葉を思い出す。
仕事一筋で家庭を顧みず、若い愛人までつくる夫・中村雅俊と
専業主婦として尽くしてきた原田美枝子が、ついに熟年離婚。
実際にも息子の問題で大変だったろう中村雅俊が^^;
仕事ができてもかなりのロクデナシ(珍しい)という役を好演、
定年を機に、身勝手な決断で人生が崩れる男を演じている。
対して、我慢に我慢を重ねてきた妻は、戸田恵子の家政婦と
なったのがきっかけで、有名作家からデートに誘われ有頂天。
どんどん綺麗になる元妻を尻目に、落ちぶれていく元夫は、
新婚旅行で訪れた先から30年ぶりに届いた妻のラブレターを
読んで愕然とし、とある決断をするが…。
この夫婦を見ていて悲しいと思ったのは、なんでこの奥さんが
初めから自分を愛していない夫と結婚したんだろうという点。
親の薦めで仕方なく…という世間的な問題もあるが、私はこの
奥さんのラブレターを聞いていて悲しくてたまらなかった。
「愛」は漠然と芽生えるもので「頑張って生み出す」ものではない。
彼女の頑張りが夫には当然と映り、ありがとうも愛しているとも
おそらくは言って貰えなかった毎日だったろう。それでも自分が
「好きだ」という気持ちで、人間は頑張れるものなんだと思った。
お腹を空かせた元夫のために鯵を焼き、鞄を持ち、上着を着せ、
「いってらっしゃいませ。」と見送る自分をバカみたい…と笑った
彼女を見て涙が出てきた。あぁこのヒトは、こんなにこの亭主が
好きで好きでたまらなかったのか、というのが伝わるからである。
この奥さんは、自分にこれでもかと尽くす親切な作家よりも、
尽くしても尽くし足りない武骨な愛想無しが好きだということだ。
これもまた、究極の愛。になるんだろうか^^;
昔話ではないけど、男にとっては金の草鞋に相当する妻だな。
(憎みきれないろくでなし~♪より、ミッシェ~ル♪か、やっぱ^^;)
旦那さん、素敵な方ですね
映画「60歳のラブレター」(深川栄洋監督)から。
映画館は、いつになく「夫婦」らしき2人で溢れている。
ペアと呼ぶべきか、カップルと呼ぶべきか、
それとも、アベックと呼ぶべきか、と迷うくらいの2人が、
所狭しと集まったらしい、先週の週末。
私たち夫婦は、それを想定して火曜日の仕事帰りに。(笑)
(もちろん、夫婦50歳割引、5組くらいの男女しかいない)
内容は、どこにでもいそうな3組の夫婦愛、
一言で言えば、テレビの「2時間ドラマ」の延長って感じ。
映画と呼ぶには、ちょっとインパクトがなかったかな。
しかし、メモは溢れた。
中でも、綾戸智恵さん扮する妻・光江さんの手術前、
心配そうに妻に寄り添うイッセー尾形さん扮する夫・正彦さんをみて、
病院の看護師さんが、不安いっぱいの彼女に語りかけた台詞。
「松山さん、旦那さん、素敵な方ですね」が心に残った。
この台詞「奥さん、素敵な方を旦那さんに選びましたね」
と言い換えることができる。
2人を知らない他人から、こんな台詞を言われた時、
私の異性を見る目は間違ってなかった、と実感するに違いない。
こんな台詞を、一度は横に座っている妻に聞かせたいな、
そんなことを思いながら、メモ作業を続けた夫である。(笑)
イッセー尾形と綾戸智絵のエピソードが秀逸
人間、誰しも年老いていくわけだから、還暦間近の登場人物たちが主人公となる本作も、きっと胸に迫ると思う。そう思えるだけのクオリティがある映画だった。
ただ、3組の夫婦の中でも主役各となる中村雅俊と原田美枝子のエピソードが1番弱く、共感しがたいのがちょっと難点。でも、イッセー尾形と綾戸智絵のエピソードが秀逸なので、それだけでも見る価値はあると思う。
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